




Marunouchi, Tokyo.
最近、仕事のやり方がうまくいかんしバイオリズムも落ちている感があって不安だという内容を、俺に今の仕事のイロハを叩き込んでくれた先輩ディレクターに相談した。
この人は、俺より数歳だけ歳上なのだが…いわゆる「言語化」の鬼である。
目の前に立ちふさがるすべてを圧倒的な理屈と弁舌で薙ぎ払いながら業界生きてきたような人で、新人時代の俺が書いてきたブツに対しても、
「…で? これの何が面白いの?」
から始まり、俺ごときペーペー小僧の反論など、1から10までぐうの音も出ない正論でボッコボコに叩き潰されて最初から書き直しを命じられた時のことは、今思い出しても冷や汗が出る。
なのに、俺がその時の恨み節を語ると、
「そうだったかなぁ…。全然覚えてないや。お前は最初から割とできてた印象だよ」
とかほざく…仰るのである。たちが悪すぎる。
間違いなく令和の今同じやり方で若い子の相手をしたら、ハラスメントで大問題になるだろう。
それはともかく、その「鬼」に相談したところ、
「そういうのが、ミドルエイジクライシスってんじゃないの? 要するに(大人の)思春期よ」
と、さらりと答えられた。
瞬間、「思春期」という単語に俺の神経シナプスがズビビビビ! っと反応して、
「そっかー…。思春期なのかー(大人の)」
一気にすべてがすとーんと腑に落ちてしまった。
昨日まで、これはもしや鬱の前兆なのではないか? などと真剣に思い悩んでいたことがすべて解決してしまったというか…ああいや何も解決はしていないんだけど、
「まあ…思春期ってそういうもんだから。仕方ないよね」
ってことで、俺の心の中のいい大人の部分が、すべてを寛容に許せてしまえるようになっちゃったのである。
心が軽くなるって、まさにこのこと。
さすが、言語化の鬼。ずっとついていきます、先輩。
ねえ?
思春期なんだもん。しょうがないよねぇ?