先日でちょうど3年が経過したので備忘録を残しておこうと思う。
きっかけはあの大事件の最中、友人の実家が荼毘の炎によって焼けたことだった。
自分も子供の頃何度も遊びに行っていた、愛着のある家だった。
もともとエンデヴァーはあまり好きではなかったこともあり、テレビで見かけるたびにどんどんアンチ感情が膨れていった。自分の子のつけた火の後始末くらいちゃんとしろよ、何ヒゲ燃やしてんだという気持ちになり、死柄木が捕まった数か月後くらいに衝動的にネットで消火器を注文した。
最初に送り付けた時はさすがに手が震えた。
インターホンが鳴るたびに心臓が跳ねたが、エンデヴァーが家に乗り込んでくることも、警察が逮捕しに来ることもなかった。
次第に送ることへの罪悪感へもなくなり、普通の買い物気分でネット注文しては消火器を次々と送り付けた。だいたい1カ月に3本セットを一つ送っていたが、2年目からはそれも面倒になり某通販サイトで定期便を契約した。
アンチ感情から始めた消火器送付だが、その頃になると正直もうエンデヴァーのことはどうでもよくなっていた。
もともと怒りが長続きしない性格だし、友人の両親もすでに前より立派な家を建てている。一度新居に遊びに行ったが、友人母は補償金で安く建てられたし床暖房もつけたのよ~とニコニコ笑っていた。床暖房は快適だった。
エンデヴァーもなんだかんだとヒーローに復帰して、しっかり街を守ってくれている。ただテレビで見かけると、やっぱりヒゲは燃やさない方がいいとは思う。
それでもエンデヴァー事務所に消火器を送り付けることはやめなかった。なぜだろう。わからない。アンチ行動をとっている人の中には、自分のように惰性で続けている人間も実は多かったりするのだろうか。
先日、ニュースにエンデヴァー事務所が出ていた。
何でも3年ほど前から匿名で善意の消火器が届いており、その感謝も兼ねて市民に向けた防火訓練を実地するらしい。
頂いた消火器は有意義に活用させてもらう、ありがとうとエンデヴァーがヒゲを燃やしながら話していた。
いや、違うから。あとヒゲ燃やすなよ。
そう呟きながら、定期便の消火器の本数設定を3本から5本に増やした。
エンデヴァーのヒゲから炎が消えるまで、とりあえず消火器の送りつけは続けようと思う。