【0日目:続・機内~ドバイ着】

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 2回目の機内食はドバイ着陸の2~3時間前だった。量としては1回目と同じくらい。大して活動していなかったがこれも意外と食べられた。日本で食べた朝飯からカウントすると、(ほとんど寝ていなかったので)5回連続で飯を食べているようなものである。よく胃袋に入ったものだ。

 2回目のメインは、片方は忘れた(というか聞き取れなかった)が、自分が選択したのはお粥だった。お粥とは言っても上に海老やら何やら乗っていて中華風だった。これは消化に優しくて良かったと思う。しかしながらご飯とパンが一緒出てきたのは日本人的には何とも言えなかった。

 パンは、この大阪発ドバイ便だけ日本のメーカーのものだった。焼きそばにお粥といい、日本人が多く乗る便なので日本食を取り入れているのだろう。

 そういえばCAさんも日本人が何人か乗っていて、日本語のアナウンスも結構あった。これは嬉しい配慮である。ただ少し面白かったのは、英語のアナウンスは要点をつらつら喋ったあと"Thank you"でサッと切って終わるのに対し、日本語のアナウンスは「~して下さいますようお願い申し上げます。本日はご搭乗いただき誠にありがとうございます。どうぞ最後までごゆるりと……」みたいな感じでくそ長いのだ。英語の簡潔なアナウンスを聞いた後だと余計に冗長に感じた。

 食事の話に戻るが、パンに塗るジャムやバターと一緒にチェダーチーズが付いていた。このチーズの包みの英語が読めず、ホワイトチョコレートの塊なんじゃないかとしばし疑ってかかった。

 実はこんなことをしなくても、食事のメニューは「モニターで事前に確認できます」的なアナウンスが英語であったのだが、いくら見ても見当たらなかったので諦めていた(これは帰りに解決した)。

 チーズは美味しかったが味が濃く、パンと一緒に食べた。おかげバターとジャムには手をつけなかった。これ全部塗る人いるのか???

 余談だが、始終にこやかなCAさんに対し、隣の人達が中東系の航空会社は丁寧だね、みたいな話をしていた。曰く、欧米の会社はやばいらしい。乗ったことがないのにとやかく言うのはあれなので詳細は伏せるが、乗るなら英語でちゃんとコミュニケーションが取れるようになってからにしようと思った。

 ただ優雅なエミレーツ航空のCAさんもワゴンをよく座席にぶつけていて、1番通路側のおじさんもそれを指摘していたが、おばちゃんが「まああんまり気にしてないんちゃう?」と言っていた。なお後述するが機内の揺れが酷かったのでたまたまだった説はある。

 隣の席の人達の雑談で覚えているものがもう一つあって、この10時間のフライトの間一度トイレに行った時、自分はそれまで履いていたスリッパから運動靴に履き替えた。トイレの床は濡れていてお世辞にも超綺麗とは言えなかったが(誤解のないように言うがトイレ全体としては綺麗だった)、隣のおばちゃん曰く外国の人はスリッパのままこの機内トイレに行くこともあるとか。これはまあ感覚の違いの問題なので良い悪いではないのだが、このどこまでスリッパでどこまで土足か問題は後々ホテルに着いてからも結構悩んだ。

 トイレに関してもう少し言うと、機内のトイレに行ったことが実はなかったのでどこが入口かわからず迷った。キョロキョロしているうちに"vacant"の表示を見つけて、その壁に"PULL"と書いてあったので、押したら扉が開いた。無事発見できて何よりである。

 眠れなくて暇な間は外の景色や航路を見ていた。 飛行機は日本を斜め上に抜けて韓国の上を通り、北京の上あたりから中国とモンゴルの国境辺りを進んだ。この付近で外を見た時、万里の長城のような光の帯が地面に見えたがもしかすると全然別の建造物かもしれない。

 この辺りを通過している時、気流が乱れているようでかなり飛行機が揺れて頻繁にシートベルト着用ランプがついた。まあそもそも普段外さないのだが。

 揺れで少し思い出したのだが、時々飛行機の揺れとは違う別の揺れを足元から感じるので何かと思っていた。かなり後になってその正体に気づいたのだが、隣のおばちゃんが脚の運動のため床を踏み鳴らす音だった。これもエコノミー症候群対策だろう。

 それからたまに後ろの座席から揺らされることがあって、これも何かと思っていたのだが、どうやら座席ポケットの物を出し入れしている時の揺れがダイレクトに前の席の人に伝わっているようだった。俺もポケットをいじる時は優しくしよう……とこの時は思ったのだが、この後段々忘れていった(帰りは1番後ろの席で後ろがいなかったから、ね……)

 航路の件に話を戻す。中国とモンゴルの国境沿いに進んだ後は、新疆ウイグル自治区のところでそれを避けるようにタクラマカン砂漠の縁を通り(まあいろいろあるんだろう)、ネパールの上を抜けた。この辺りで何度か外を見たが、ゴツゴツした岩肌が広がっていて、日本は緑だなと改めて思った。この時高度は3600ftだったが、地表もそれなりの高所なので案外近くに見えた。

 それからパスキスタンの上空を通ってペルシャ湾に抜けた。ここまで来るとドバイは目と鼻の先である。

 モニターには時折、地球上のどこが昼でどこが夜か示した世界地図が表示された。飛行機は西に向かって飛んでいるのにそれ以上のスピードで月も西に傾いていって、地球は凄いスピードで回ってるんだなーと思った(小並)。

 夜から朝に変わっていったのはドバイもかなり近づいた頃だったと思う。空の下の方からオレンジ色に変化していった。朝日が後ろからやってくるのはまるで追いかけられているみたいだった。

 さらにペルシャ湾の上空で主翼が太陽光を反射してその光がでかい金属~~~って感じがとてもよかったのだが語彙力がない。何とか撮ったから写真を見てくれ。

 このドバイ国際空港へのアプローチで不思議だったのは、着陸30分前を切っても一向に高度が下がらず36000ftのまま飛んでいたことだ。いつになったら高度を下げるのだろう、これじゃ着陸できないぞ? と思っていたのだが、結局飛行機が降り始めたのはペルシャ湾上空に入ってからだった。そこで同じ場所を何度も旋回しながら高度を下げていった。同じような機体が窓の外から何機も見えて、これは飛行機の鷹柱だ(降りる方だけど)と思った。 どうしてもっと手前から高度を下げないのか不思議だったのだが、帰ってから地図を見て、ペルシャ湾に抜ける前はアフガニスタンやパキスタン、イランといった国の上空にいたことを知った(中央アジアの国の配置覚えるのは苦手である。)ここらで高度を下げるのは危ないということなのかもしれない。地球の空は広いのになんか狭いねえ。

 2回目の食事の後、着陸準備の前に暖かいおしぼり? というか顔拭き? ともかくフェイスタオルだ! が配られた。風呂に入っていないからこれで顔まわりをすっきり! というわけだ。実際気持ちよかった。 その後ブランケットとイヤフォンが回収された。ここで回収しないと持ち帰る輩がいるのかもしれない。その時ブランケットをよく見たら「これは28本のペットボトルからできています」的なことが書かれていた。リサイクルってやつだ。

 ドバイ上空ではあの特徴的な海岸線(なんかこう亀の甲羅の模様みたいなあれ)が見えるのではないかと期待していたのだが、よくわからなかった。別側の窓だったのかもしれない(そうは言ってもぐるぐる回っているのだから見えても良さそうなのだが……) それに帰ってからふと思ったが、ドバイにあるという世界一高いビル? あれも見た覚えがなかった。下ばっかり見ていたからかな。

 ドバイ国際空港(海岸近くから内陸に向かって滑走路が伸びている、この日は内陸側から着陸)に着陸するにあたり、機体は一旦陸に入ってそこから折り返した。都心から少し離れるとザ・砂漠の国という感じだった。日干しレンガの建物というやつだろうか。白や茶色っぽい建物が並んでいた。だが全く緑がない訳ではなくて、木に囲われているような家も多かった。 それから大きめの川があって、その周辺の砂は先週の洪水(4/17の話。詳しくはニュースを調べるのだ!)の跡なんじゃないか……? という感じでうねっていた。

 気温は朝5時過ぎで29℃くらいだった。なお空港内は涼しかったので、暑くてやってられない! みたいなことにはならなかった。湿度が低くてカラッとしていたのもあるかもしれない。

 着陸後は衝撃的だった。これは正しくエミレーツ航空の群れだ! 流石拠点空港にして巨大ハブ空港、どの搭乗口もエミレーツ航空で埋め尽くされていた。見えていただけでも30機はいたのではないだろうか。それもどれもこれも大型の機体ばかり。エアバスだと思うが2階建ても多かった。JALでもこんなにいっぱいるのは見たことがなかった。 さらにタキシング中、機体が曲がった時にふと後ろを見ると、自機の後ろに既に5機ぐらい飛行機が並んでいた。こんなにいたのか!?!?

 それでもまだまだ降りてくるし、ひっきりなしに飛んでいく。一体この付近にどのくらいの飛行機がいるのか、考えただけでわくわくした。 だが空港は撮影しては行けないと聞いていたので撮らないようにしていた(撮っている人もいたが、何か言われたら適わんし。)というわけで写真はない。 ちなみにエミレーツ航空しかいないわけではなく、時折別の航空会社も見かけた。

@talewind0
一次創作とポケモン