今年最後のジャンゴを聴きならが一年を振り返る。
1: この素晴らしき世界に(WHAT A WONDERFUL WORLD) / NICK CAVE & SHANE MACGOWAN
2: あいのロックンロール / ザ・クロマニヨンズ
3: COME ON NOW / RAMONES
4: GOD SAVE THE QUEEN / SEX PISTOLS
5: EDDIE & SHEENA / THE ELECTRIC CHAIRS
6: ブギウギ時代 / 笠置シヅ子
今年もいろいろあったのか?なかったのか?何をもって判断するかによるが、思い描いていた2023年ではなかったのは確かだ。未だ続く戦争や政治の腐敗。個人としては目標未達、悔しいことも多かった。そんな世の中や自分自身に対して憤り、不安、焦り、まさに「No future」だ。
しかし、そんな時でも悲観せず、前を向き歩みを止めずに進み続けられたのも、この曲をはじめとして多くのロックンロールが自分を鼓舞し続けてくれたからだ。
Sex Pistols - God Save The Queen
「No future」で元気になる。不思議なんだけどホントなんだよ。
甲本: 僕も同じような体験をしてきたよ。ロックンロールを聴くとすごく元気になる。それが「No future for you」って歌詞でもいいんですよ。言葉の意味そのまんまじゃない。だから例えばSiriかなんかに「元気が出る曲かけて」って頼んでもダメなんだよ。将来AIがどんだけ進化しても、「お前に未来はねえ」という歌詞の曲を、元気が出る曲だとは認識できないと思う。
今年はChatGPTの登場でいろんな物事がさらにスピードを上げ転がり出す。これからもさらに加速していくと思うし、転がるスピードについていくことは非常に困難だ。しかし困難だからといって諦めたわけではない。スピードだけじゃない。どう転がるかが大事。どう利用するかが大事だ。そして変化を恐れずにチャレンジすること、少しづつでも前に進み続けることが大事だ。
Bob Dylan - Like a Rolling Stone
転がるで思い出したけど、元気が出る曲シリーズだとこの曲も当てはまる。
歌詞の内容としては、ある上流階級出身の女性が落ちぶれる様子を歌っているのだが、人生における栄枯盛衰とは何か?と考えさせられる。
悲しく、切ない詩の中にも、終盤での展開がロック的で希望を感じる。
When you got nothing, you got nothing to lose.
You're invisible now, you got no secrets to conceal.
そしてディランは語りかける。ロック史に残るフレーズ、大好きな一節だ。
How does it feel ?
How does it feel ?
To be on your own
With no direction home
Like a complete unknown
Like a rolling stone ?
不思議とこの曲を聴きたくなる時って、うまくいっていない時が多い。絶好調だぜ!って気分の曲ではない。冷静に考えると不思議な曲だ。「どんな気がする?」って言われて「最悪だよ」と答えたとしても、元気が出てくるって...。
英語圏には「A rolling stone gathers no moss.」という諺がある。
以下、前者が英国、後者が米国での捉え方らしい。
「職業を転々としている人は裕福になれない」というネガティヴな意味
「常に活動している人は停滞しない」というポジティヴな意味
米国人であるディランは、後者の意味でこの詩を書いたのではないかと思っているが、前者の意味にも当てはまるし、聴き手の捉え方次第で、色んな解釈ができる。自分のように希望を見出す人もいれば、絶望した人生をMiss Lonelyに重ね合わせる人もいるかもしれない。
最後の「Like a rolling stone ?」
「おまえはどうする?」そう問われている気がする。
フォークからロックへの転換、その後の停滞、迷走期も含め、ディランは常に変化を恐れず未だ転がり続ける。
さあ2024年、どんな年にする?