ラーメン屋にて

tamanori
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地元にラーメン屋があった。もうなくなってしまったが、クソまずいラーメン屋だった。

夜は婆さんがやっていて、いつも麺がデロデロだった。昼はその息子がやっていて、もうちょっとマシだというので、食いにいった。麺はほどよい時間で茹であげられたが、クソまずいことに変わりはなかった。

三回か四回行った気がする。いつも面白かった。店の引き戸を勢いよく開けるなり、店主の婆に「あんたんとこの風呂勝手に借りたからね。ありがとね。」と叫ぶババア。「いつもすみません」と大量の餃子を受け取る若い男と、差し出された千円札を受け取らない店主の婆。「親と喧嘩してさ、」と友達に愚痴る俺と、カウンター越しに「あんたそんな歳で親と喧嘩するの!?」と叱りつける店主の婆。店が満席と見るや、「瓶ちょうだい」と千円札と交換し、地べたに座って瓶ビールを直飲みする男。

潰れて数年経つ。跡地の行く末を Google Maps Street View で確認したが、そこにはまだ営業中の姿が残っていた。2015年10月の姿のまま残っていた。