鬼怒川温泉は子供の頃に2年間だけ住んでいた。それ以前にも、そしてその後も住んでいた宇都宮だって都会の人から見たら十分に田舎なわけだが、鬼怒川温泉はさらに田舎だ。小学校入学からのその2年間は、自分にとっては長い長い林間学校のようなものでもあり、また第2の故郷だとも思っている。
その鬼怒川温泉に来月、義母孝行も兼ねて1泊で出かけることになった。
さすがに記憶に残っている同級生の数も片手にも満たないのだが、記憶を頼りにウェブの地図で探してみる。しかし、それも残念な結果に終わる。もう住んでいないのだろうか、お店は畳んでしまうしかなかったのか……、などと(失礼なことに)悲観的なことを予感したが、よく考えると家業を捨てて大成功している可能性だってある。鬼怒川温泉自体が斜陽だからといって、全てが下り坂なわけでもなかろう。自分の浅はかさに自然と苦笑が出る。
数えてみればその地を去ったのがおよそ50年前。とても凡人に変化を予想できる年数ではない。
それにしても彼らは今、どうしているのだろうか。