朝美絢さんトップスター就任は終わりの始まり、すでに寂しさでばくはつ寸前 - 宝塚雪組公演「愛の不時着」

単勝(tan_show_)
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公開:2024/12/15

私にとって世界一の麗人、朝美絢さん

宝塚は2010年代から組関係なく数年に一度、誘われたら行く程度で、気を抜いたらズブズブハマるだろうなあと思いつつも横目で見ているだけだった。特に贔屓もなく誘われてホイホイついて行った月組公演のグランドホテルでとても目を惹く麗しい方がいらっしゃって、それが朝美絢さんだった。連れにも「朝美絢のことめっちゃ目で追ってたよね笑」と言われるくらい、釘付けだったらしい。その後、彼女はFNS歌謡祭でのパフォーマンスでバズっていたので、やっぱそうなるよね!?世間に見つかっていないだけだよね!?と納得したりもした。

今はちょっとだけ回数が増えて1年に2,3回、主に雪組公演を東京宝塚劇場に行くくらい。宝塚は見れば見るほど浴びたくなるので、今年からいろんな組の大千穐楽ライビュだけは見に行くようになっている。

宝塚はいつも楽しい。特に後半のレビューが好き。豪華なセットにギラギラの衣装、美しいダンスと歌唱とスタイルとお顔。シナリオがあるようでないトンチキな世界観でも、圧倒的歌唱力と表現力があれば説得力があり、心が震えて喜びで涙が出るのを知った。

169センチの朝美絢さんはたぶん、男役の中では小さくて、長いことヅカオタやってる友人の言ってた「男役の自称169センチは169センチじゃない」の発言の通り、169センチもなさそう。彼女もそこを自分で気にしているかもしれない。ステージの見栄え的にも、娘役との対比という意味でも、男役はでかい方がいいんだろう。だから彼女はかなりヒールの高い靴で舞台上を舞い踊る。姿勢も美しいまま、娘役の子を軽々抱き上げて回る。宝塚では当たり前のことなんだろうけど、そういう地味な努力を感じてしまうところが好きなのかもしれない。


トップスターは終わりの始まり

セットの一番高いところからピアノを弾く主人公リ・ジョンヒョクの背中から物語が始まる。小さな頭に華奢な背中の朝美絢さんを見て、本当に主役を演じている、本当にトップになっている、っていうだけでもう泣いてしまった。これを書いている今も思い出し泣きしている。

ろくに現場に足を運んでいない宝塚ニワカで宝塚IQ※の低い私なのに、朝美絢さんがトップになってしまったという事実が、嬉しくてありがたい反面、猛烈に寂しい。あと数年で退団が確定、あとどのくらいあの華やかでギラギラの舞台に立ち、男役として生きてくれるのだろうか、終わりの始まりにすでに苦しくて仕方がない。宝塚のオタクの人たちは、いつもこんな恐怖に怯えながら贔屓を推しているのだろうか…トップになれずに退団してしまう子も毎年いっぱいいるし、なんとつらい世界。期限があるからこそ、全てを出し切ろうと贔屓はより一層輝くのだろうか。それにしたって辛い。

本公演、大階段からデカ羽根背負って降りてくる朝美絢さんを見て、私はきっとまた号泣するのだろう。。。想像するだけで泣けてくる。今まで退団していった方々のファンは、いつもどうやって気持ちの整理をつけているのだろう。

あーさがトップになったら絶対にムラも行くんだと意気込んでいた一年前。それが来年早々に実現しそう。チケットが手に入るなら、東京公演は週1ペースで見届けたい(とれるのか?)。とにかく、目を瞑ったらまぶたの裏で自動的にあーさが歌い踊り出すくらい、目に耳に脳に宝塚男役として生きる彼女を焼き付けておきたい。

※宝塚IQ:一見同じようなメイクと顔をしていらっしゃるジェンヌさん達の顔と名前を一致させる能力値。演目が変わりメイクや衣装や髪型が変わっても、どのジェンヌさんか判別がつく能力を私はこう呼んでいる。

愛の不時着のお話と雪組のみなさんと専科ネキ

ドラマ未視聴でも非常に楽しめた。RRRにしろ銀英伝にしろ、宝塚は長編をコンパクトにまとめるのが上手い(もしかしたら長年の観劇の勘で「ここは本編ではもっと手厚いシナリオなんだろうな」と勝手に脳内補完する癖がついているからかもしれない)。

クールで真面目で恋愛にも奥手っぽいジョンヒョク役の朝美絢さんと、陽キャでチャラくて伊達男なスンジュン役の瀬央ゆりあさん。お芝居も歌い方も対照的で、お互いがお互いをひき立てあっていた感。

寡黙なジョンヒョクは終始控えめだったからこそ、ユン・セリと離れ離れになり「君は僕の運命だった」とエモーショナルに歌うところで、愛の深さと重さが爆発していた。あのクライマックスのシーンがとてもよかった。

フェアリー朝美絢さん

2列目ドセンで見上げたAJ、あまりにも美しく、体も薄く顔も小さく(髪型のせいでオスカルの1/3くらいに)、本当にこの世に存在しているのかと思うくらい儚かった。近いのに、見た目の隙がなさすぎて二次元みたいだった。夢白さんを抱きしめたとき、頬を触るとき、その手の小ささったらない。おかしい。同じ次元に生きているのだろうか。妖精なのかもしれない。雪組のトップは妖精。

最後のデュエットダンスで真っ赤な衣装でセンターから出てきたときも、その尊さに涙が出た。小さく儚い。妖精。

たくましい夢白あやさん

夢白あやさん演じるユン・セリは非常にチャーミングで表情豊か、女社長という役どころもあり表情から自信がみなぎっていた。ステージを見上げるような席だったので、ミニスカート姿の時はつい脚をじろじろ見てしまった。ごめんね。それにしたって綺麗な脚ですわよ。たっかいピンヒールなのにシャキシャキ歩いて踊ってかっこいい。夢白さんは娘役でも、娘娘していなくて、たくましく強い女性って感じ。

そんなことより瀬央ゆりあさんが男すぎる

舞台に出てきただけで華やぐ。背も大きくて手足も長くてお顔も男性にしか見えない。前髪はハート♡。彼女、もとい彼をつい目で追ってしまうような人を惹きつけるオーラがすごかった。そして前に出てきて歌うたびになんかいいにおいがした。どこかの組でトップをやっていてもおかしくなさそうな方なのに。宝塚は恐ろしい。

ハイローザ戦国を見たときは「男性だな」と何の違和感もなかったのですが、逆に違和感がないのおかしくない?と今更。

華純沙那さんに期待age

大劇場じゃない公演は、出演者が限られているので、組子さんひとりひとりをよりよく知るよい機会。その中でも彼女は2番手ヒロイン?で、クールな役どころだけどベイビーフェイスで歌もお上手でかぁ〜〜〜わいかった。肌艶からもフレッシュ感が溢れている。瀬央さんとの身長差だったり、やわらかに寄り添う感じ、とてもよかった。

そのほか、村人にしては美しすぎる杏野このみさん、芸達者な愛すみれさん、顔が整いすぎている紀城ゆりやさんなど、雪組への解像度が上がった公演だった。


寂しい寂しいとばかり言っていられない。朝美絢がまぶたの裏でオートマチックに踊り出すくらいには脳内に学習データを溜めておきたい。

来週は三代目の大阪ライブ。そしてたまたま愛の不時着も梅芸公演があるので、軽率にチケットをとってしまった。来週の今頃は三代目のオーラス、20回目のM-1決勝、愛の不時着で情緒がどうかしちまうかもしれない。

@tan_show
世界に感謝をのべる。