父親が逮捕された朝

tanh
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私の父親は前科者だ。過去に犯罪を犯し実刑判決を受けて懲役にいった。

私が中学生の頃、朝いつものように学校にいこうと玄関を出たら黒いスーツを着た男性が10名ほどいて、セダンが数台家の前に停まっていた。彼らは私に向かって笑顔で馴れ馴れしくおはようと挨拶をしてきたのを今でも覚えている。

その朝の両親は今思えばどことなく普通じゃなかった気がするが、そのとき私は事実は知らされておらず当然事態にも気づかなかった。スーツの男性が何者かもわからなかった。ただいつもと違う異様さは感じ取ったことは記憶している。

学校から帰宅後、父親が逮捕されたことを母親から聞かされた。なるほど朝のやつはそれかと冷静に飲み込んだことを覚えている。母親は子どもの将来をとても心配していた。泣くのを堪えて私に状況を説明してくれたのを記憶している。

これから家族はどうなるんだろうか、生活はどうなるんだろう、離婚するんだろうか、学校にはいけるのか、報道はされるのか、友達に知られたらどうしようかとか、子供らしくそんなことを考えていたことを覚えている。母親からは実名報道はされるだろうと聞かされその通りとなった。地上波のニュースと新聞で父親の名前が報道された。まぁ仕方ない。友達に知られて恥ずかしいという思いはあったがこれで学校にいかなかったら逆にまずいと思い翌日から何食わぬ顔で普通に登校した。とはいえ内心は怖かったことを記憶している。同級生はまだ子供だから知らないかもしれないが先生は知っているだろうとか、なんか言われたらどうしようとかそういうことを考えていた。でもなにも起きなかった。少なくともそれでいじめにあったりはしなかった。母親は弁護士と会ったり面会に行ったりマスコミに追いかけられたりで大変そうだった。相当疲弊していたと思う。母親は気丈に振る舞っていたと思う。私の前ではあまり涙は見せなかったが見えないところで泣いていたのかもしれない。弁護士と話した内容を私に伝えてくれた。起訴はされるだろうとか執行猶予はつくのか実刑になりそうかとかそういう話題ばかりだったように思う。当時は刑事事件の仕組みも警察と検察の違いもわかっていなかったが、このときに勉強した。父親についた弁護士は元検察のいわゆるヤメ検で、検察の闇みたいな話も母伝で聞かされ当時大変興味をもったことを記憶している。

結局父親は起訴されて実刑となり収監された。刑務所から手紙を送ってきたことを覚えている。心配かけてごめんみたいな当たり前のことが書かれていたように記憶しているがちゃんと覚えていない。

今回はここまで。いくつかの事件で起訴されたので記憶違いがあるかもしれない。この話は友人にも会社の同僚にも今まで誰にも話してこなかった。付き合ってきた人にも話していない。いや最後に付き合った人には話したかな。それで別れたんだった。直接それが原因になったわけではないが私の中で整理ができず結婚はできないと思い別れた。相手の親に紹介できる親ではない。これは仕方ない。

気が向いたら書き足していく。