昨日の激戦の代償として足が痛む。
しかし弱音を吐いている場合ではない。今日は東北大学の『春セミ』で授業を担当するのだ。さっそく新幹線で仙台に向かった。
お昼前に仙台駅に到着し、駅ビルで手早く牛タンのランチを摂る。その後すみやかに地下鉄でキャンパスがある川内駅に向かった。仙台駅の改札を抜けた瞬間、着ていたジャケットのボタンが音を立てて取れた。不吉の前兆だろうか?
気を取り直して東北大学のキャンパスに入る。日本屈指の総合大学だけあって、敷地が広大だ。受付を探しながらほぼひと回りしてしまった。
『春セミ』とは今月入学したばかりの1年生の必修科目である『学問論』のうちの一コマで、学内外のさまざまなバックボーンを持つセンセイたちによる授業が各教室で繰り広げられる、フェスのような催しだ。私は4限で「スキルセット」について授業を行う。
参加者は15名。はじめて学生の前で教壇に立つ私はドキドキだが、授業を受ける彼らもドキドキだろう。私の手持ちの武器はパワポとスケッチブック一冊のみ。90分一本勝負のはじまりだ。
ディスカッションを多めに入れたことが功を奏したのか、あまりボロが出ないうちに無事授業は終了した。ひとりの学生が教壇まで来て「迷っていたけどやっぱり教職を取ることにしましたっ!」と輝いた瞳をまっすぐこちらに向けて宣言してくれた。それだけでやって良かったと心から思えた。
夕方の振り返り会に参加した後は、お待ちかねの懇親会だ。センセイを務めた40人近いメンバーの約半分が参加し、大いに盛り上がった。中には典型的なバブル期入社世代でやたらとZ世代の振る舞いに否定的な話をしたがるおっさんもいたが、ひとまず彼の話のすべてを軽やかに否定しておいた。
Z世代は日本最強世代だろ、どう考えても。
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" 彼女はといえば、遠くを眺めていた。 "
『若者たち』サニーデイ・サービス