Blueskyの「フィード」の虜になっている。
Twitterの「リスト」は、人を起点として投稿を集めていたけれど、フィードは、話題を起点として、投稿を集める。
かんたんな仕組みのフィードは、いくつかの検索ワードを用意して、ヒットした投稿を表示する。いわば検索セットだ。フィードはどのユーザーでも(ツールを使って)作成できる。
フィードの肝は、原則としてオープンなことだ。フィードを利用するために公開する必要があり、他人が公開したフィードをフォローできる。人の制作したフィードに「いいね」をつける仕組みもある。
自分のためのフィードも作れるが、人に使ってもらうためのフィードを作ってみたくなる、そんな構造になっている。
ニッチなフィードの心地よさ
フィードをTwitterの流儀で使うとしたら「#なにがしか」みたいなハッシュタグに引っかかる投稿を選別するフィードを作るのも良い。ニュースアカウントのまとめのような、特定のユーザーの投稿をキュレーションするフィードも作れる。それもまた良い。
しかし私はもっとニッチなフィードに惹かれている。
手前味噌で恐縮だが、「サメの洗濯」フィードというものがある。
「サメの洗濯」フィード……これは、「サメ」と「洗濯」という言葉が入った投稿を拾うフィードだ。開いたあなたはきっと、洗濯機で表れたり、干されたりするサメのぬいぐるみを目にして、つかの間の間和やかな気分を感じるはずだ。
そうあってほしいが、いつもサメの画像がでてくる訳ではない(ニッチすぎるからだ)。
それでもニッチなフィードは、作っておくと福があると思う。このフィードを作って公開しておくことで、見知らぬ誰かがサメを洗う様子を投稿してくれるかもしれない(そうあってほしい)。
ほどほどにニッチなテーマにしておくと、フィードは上手く機能する。これまた手前味噌だが、「カワウソ・ラッコ」フィードには、Blueskyユーザーのみなさんが投稿したカワウソの写真が毎日追加される(そしてフィード作者の私が喜ぶ)。 「たぶんスマホの話」フィードには、“一般人”なみなさんのスマホにまつわる何気ない一言と、“逸般人な”な方々のマニアックなトークが程よいバランスで現れる(と制作した私は思っている)。
本当はフィード職人の制作したフィードをもっと勢いよく紹介したいのだが、ここで勢いよく書き出すとスクロールするのがウンザリする長さになりそうなので止めておく。その話は日を改めてしたい。
Blueskyでしか得られない栄養がある
もっとも、カワウソの写真がみたいというだけなら、Twitterで動物園のアカウントをいくつかフォローした方が、供給は潤沢だと思う。
そもそも、Blueskyの投稿の大半は、Twitterのおすすめ欄に並ぶほど話題を有益ではなく、商売っ気がにじみ出ている訳でもなく、心を揺さぶるものでもない。
だからこそ、良いのだ。フィードを通して眺めると、素朴で雑多な人びとの感想が目に入る。そこには投稿者の素朴な喜びが伴っていることが多く、見ていて厭きない。
公式アカウントやらインフルエンサーやらが少なく、レコメンデーションシステムも素朴な今のBlueskyだからこそ、情報ツールとしてではなく、人の好みを楽しめるのだと思う。Twitterが失ってしまった、好きを通して人とつながる機能が、Blueskyにはまだ生きている。