人は生まれた瞬間から死に向かっているみたいな言葉がなかったか。
あらゆる人々は、ひたすら、死に向かって進んでいる。
ブッダの言葉だった。
若い頃はヤケクソな生き方をしていたくせに死を恐れなかった。そもそも死ぬと思わなかった。若さよ。人生を折り返した辺りで死ぬことへの漠然とした恐怖を感じるようになる。遠くに死の立て札が見えてきたからか。いろいろなことを考えるようになり、今は怖さが幾分和らいだ状態。見たいような見たくないような、そろそろと薄目で見てる怖さ。これが完全になくなったときがゴールなのかもしれない。
自分は実体として存在しているのではなく、死にゆく際の走馬灯の一部分なのではないかと考えることがある。今まで歩んできた人生の選択は、実人生では選択しなかった方なのではないか。記憶の中で再び人生を送っているのではないか。とも。脳は記憶を蓄積するものではなく記憶そのものであるという研究結果もあるようだし、脳が記憶を作っているのなら可能性は0ではない。はず。
記憶の中の人生は楽しかったりしんどかったりだけど、実人生はどうだったのだろう。楽しかったらいいな。