職場近くのコンビニにたまに行くと、ベテラン女性店員さんから話しかけられた。元々フレンドリーな店員さんというのもあるだろう。しかしいつもありがとうの言葉から、おそらく常連の誰かと間違えているようだ。彼女も私と同様に昼ご飯に納豆を食べるのだろうか。その後コンビニはなくなってしまったので、私に似た人とは会えずじまい。
一時期、職場近くのジムに週2程度通っていた。ちょっと動いたらすぐ帰るようなやる気のない存在だったのだが、ある日オーナーに毎日がんばってるねと声をかけられた。たまにしか来てないですと訂正すると、別の誰かと勘違いしていたようで謝罪された。ジムの会員からもよく通ってますねと言われたことがあるので、ここにも私に似た人がいるようだ。足繁く通ってどれぐらい似ているのか確認すればよかったが、何せやる気がないので徐々に行かなくなった。彼女はまだ通っているだろうか。
私に似た人と書いたが、少なくともジムに関しては私より遥かにやる気のある人だ。似ているのは姿形だけで心根は全然違うかもしれない。昼ご飯に職場で納豆などとんでもない。臭いで場が乱れる迷惑千万だと怒る人かもしれない。
そもそも似た人などではなく、なにかの拍子で2つに剥がれてしまった自身の片割れかもしれない。2人が出会ったとき、分裂体αとβは1つに融合する。運動はやりたくないけど始めたからにはマイペースで頑張り、昼ご飯に職場で納豆を食べたいけれど周囲の迷惑を考えてトイレで納豆を食べる私となる。
今の私が好きなので、まだ戻りたくはない。おそらく向こうもそうだろう。会わないことを祈る。