Xultun Tarot届く。マヤ文明をモチーフにしたタロット。1976年に発売されたもので、非ヨーロッパ文化をモチーフとした初めてのタロットと言われている。カードを並べると一枚の絵になっていて美しい。
とはいえ、作ったのはニュージーランド人、マヤ文明関係ない人なので今だと文化の盗用問題の標的にもされうるかもしれない。
特に20世紀後半はいろんな民族の文化をモチーフにしたタロットがたくさん作られた。アメリカ白人が作ったネイティブアメリカンタロットなんかは標的にあげられやすい。
文化の盗用問題は全体的にもややこしいけど、タロットに関わるそれもややこしい。偽歴史に基づく批判の声があがったり、それを言ったらタロットどころじゃなくルネサンス時代全体を否定しなきゃなんない、というものもあった。
数年前は結構騒ぎが多かった印象だけど、最近こういう議題は少し落ち着いてきてるのかな。
異文化にちなんだタロットを作ることはその文化を学ぶことにもなるので、その点ではメリットがあると思う。文化の盗用では経済的搾取という面も問題になるが、それやるならタロットじゃないところでやった方がぜんぜん儲かるだろうし。
感情的な面での問題は、当事者じゃないとわからない。まったくエジプト由来じゃないエジプシャンタロットについてエジプト人がどう思っているか、自分には想像がつかない。日本人が海外の映画やドラマに出てくるへんてこ日本文化を見てププーってなるような気分なんだろうか。ギリシャ人は世界でギリシャ神話の神々がいろいろこねくりまわされていることをどう思っているのか。これが非イスラム教徒によるイスラム教をモチーフにしたアラー・タロット、みたいなもの作っちゃったとしたらかなり面倒なことになりそうだけど。
タロットはその歴史の途中でユダヤ教の秘教カバラと結びついた。ユダヤ教とタロットは元々関係ない。しかしタロット+カバラの知恵がユダヤ教徒に逆輸入され、タロットを通じてユダヤ教の信仰を深める、みたいなことも起こっている。
あるいはヨガは、神智学によって世界に広められることで、再びインド国内でも活性化した。
こういう風に文化が行き来する方が、健全な気がする。