タロット学習には「魔術化」と「脱魔術化」の二つの方向性がある、と最近考えている。
魔術化は「ある何かは別の何かと似ている、関連性がある」と感じる感受性を想像力で構築していく。オカルティストよりの努力。カードに意味を付与したり、似ているものを考えたり、照応関係を考察したりがこれに当たる。しっくりくる心を構築できれば非科学的・非合理的になっても構わない。
脱魔術化は「ある何かは別の何かとこういう違いがある」と、思考や論理によって分類・解体していく。サイエンティストよりな努力。歴史的事実を学ぶ、など。魔術化の学習によって結びつけられたものをバラバラにしたり壊したりする可能性もある。
これらの二つ、現状ではあまり区別されておらず、ごっちゃになったまま学習が進むことが多いのでは。それでも成り立ってはいるのだが、鋼を鍛えるため熱したり冷却したりを繰り返すように、魔術化と脱魔術化を繰り返すことでより強靭でしなやかなタロティストになれるのでは。そのためには今やっているのがどっち方向の学習なのか意識できるとよい。
で、魔術化学習のための一つの方法を思いついた。「オリジナルのタロット起源説を作ろう」という方法。
まず、自分の好きな神話の神様や、伝説上・歴史上の人物を選ぶ。その神様や人物がまさにタロットを作り出したのだと想定。どのようにして、なんのためにタロットを作り、後世に残したのかを想像する。
これは歴史の捏造ではなく、神話の創造だ。歴史的事実と神話の出来事は同じではない。神話の中の出来事は歴史上本当にあったことだ、と信じる必要はない。歴史にしちゃうと歴史的観点からそれは間違いだと判明してしまう（これは脱魔術化の方向とのコンフリクトになる）。
どっちにしろ、ここで考えたタロット起源説は別に公にするものではなく、その人の中でタロットについての感受性を強固にするために使うだけだから、歴史的に間違っていようがいまいがは関係ない。同様に、文化の盗用等のコンプライアンスに抵触しても気にしない。自分の心の中でそれを想像しても搾取や暴力が行われるわけではない（その説を大々的に広めるつもりなら話は別だが）。
作った起源説をもとにして、カード一枚一枚の存在意義を考えていく。タロットの創造者がなぜそのカードを必要としたのか、あるいは入れざるを得なかったのか、どんな意義を与えたのか。
そのようにして世界を広げていき、自分なりのタロットのあり方に説得力を持たせていくという方法。