飲む人・それから走泥社

瀬崎 鵜
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食事の席へ出ていった時、食べる人間と飲む側の人間とがいる。東京で後者のテーブルについている面子はなぜだかいつも本州上の方の出身者が集まるから「酒ばかりやるのは東北の人間だけ」と西の人に言われるのだが、青森だとかそのへんの人に「いや新潟は東北ではないから」と釘を差され、それはそうなのでなんだかきまりが悪くなりつつ「一見するとそうだが、我々は実は西東北とも言えるんですよ」と前置きして、東北民のなかへ混じっている。知り合いの福島県人が以前自らの酒量について「昔はすごい勢いで飲んでいた」と振り返っていて、その表現があまりにも好きでずっと覚えている。それがまるで「今はめっきり飲めなくなった」とでも言いたげな割に、べつに今でもすごい勢いで飲むので「そういうところだな」と思っている。

智美術館へ行って「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」の展示を見てきた。過去に走泥社が行ってきた展示の様子のスライドを見ていたらいけばなとコラボレーションをした時の様子があって、花をいけるとまた顔が全く変わるだろうなと興味深く見た。以前都美で現代瓦と龍生派のコラボレーション展示を見て面白かったことを思い出している。

作品自体もそれぞれ面白くて何度も行き来して見たのだけれども、当時資料としての写真に写っている人々が、作家たちも展示の来場者も含めて皆とてもいい顔をしていて良かった。活力に満ちている人々。そういう人々の起こした行動をいまここで見ている。