二十時近くにもなると外気温はぐっと下がり、なんとか耐えられる暑さになっている。盆を過ぎたら冷えるくらいだったのはいつまでだったのだろうか。よくは思い出せない。ただ薄らぼんやりとそういう日の匂いを思い出している。
夏のあいだ、パキラがよく伸びた。切り花のシベリアは毎日ひとつずつ開花した。外に置いたユーカリはひとつ根こそぎ枯れたが、ほかのものは根元から新芽を出している。土を入れたまま何も植えていない鉢から、なんともわからないみみずのようなものが顔を出して、あたりを見回した後また土の中に帰って行った。この鉢はそのままにしている。これから先、空気はどんどん乾いていく。虫もまたいずれはどこかへ去って行くだろう。そうしたら私は外へ出て、遠くへどんぐりを拾いに行こう。