骨を拾う。まだあたたかい、というより、熱い。息を吹きかけて冷まして。
いつだったか二人で祝った誕生日のことを思い出す。二つ入りのショートケーキ。チョコレートにひらがなで書かれた俺の名前。律儀に年の数だけ立てられた蝋燭。炎がひとつにまとまって炎上して笑ったっけ。吹き消すのが大変だった。ああ、ほんとうに、ばかだった。
お前はもう年を重ねない。馬鹿みたいなケーキを用意しないし、前髪を切りすぎてへこまない。常識を語ることも、法律やぶっちゃお♪と言って赤信号で横断歩道を渡ることもない。喉仏の骨って言うけど本当は第二頸椎だよと言ったりしない。永遠にとまった時間の上で、たゆたうことさえない。
お前の第二頸椎を口に含む。立派すぎて噛み砕けないし飲み込めもしないから吐き出して、べちゃべちゃになったそれを握りしめながら無様に泣いている俺を見て、笑うことさえない、お前は。