ようやく、神さまを手に入れることが出来た。しかし、道端で拾ったのでひどく汚れている。神さまというものは浄らかでなければならない。浄らかさは炎によって得られるものだから、わたしは、神さまを丁寧に炎で炙った。神さまは鋭い音を発すると、かたちを失って、ばらばらに解ける。
浄化が済んだので、ばらばらの神さまを電子に変換し、コンピュータに取り込む。電子のよいところは、穢れる心配がないことだ。神さまの光がひとつずつ電子に置き換わっていく。そうして再構築された神さまに名前を与える。ファイル名を入力して、保存。穢れなきマウスポインタで神さまを喚び出す。デスクトップ上に表示される神さまはひとつの穢れもなく、ただ、美しくそこにある。