幾千の時をこえる青

techocho
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友人に誘われて国立国際美術館で開催中の特別展「古代メキシコ-マヤ、アステカ、テオティワカン-」へ。滅びた理由に謎の多いマヤ、というくらいの知識しかない私も前のめりなってしまう程見所の多い展示でした。

三千年という途方もなく長い期間繁栄したメキシコ文明の至宝は、ポーズがコミカルだったり、ぽってりとした丸みのあるフォルムが愛らしかったりと親近感を抱きやすい物が多い。そしてその保存状態の良さに驚く。特に色。青磁器のような淡い青緑色やスカイブルーの発色がとてもあざやかで美しい。ピラミッドの遺跡で有名なこともあるし、石の文化というのはやはり後世に多く残されていくのだなと思う。

ただ、今回の展示のポスターのコピーに“祈り、畏れ、捧げた”とあるように展示物の説明には【人身供犠】【生贄】といったショッキングな言葉が何度となく出てくる。神々や霊の怒りを静めるための儀礼が最も重要な行為であった時代。私と友人も語彙力を失って「あぁ…」としか言えなくなるほど残虐な史実もあった。美しい立像や飾りが生贄を飾るための物であったりもする。人々は信じていたのだ。安寧の世を保つため、王の権威のため、それが必要なことだと。

青い世界から赤い世界へ。

古典期マヤの都市の一つパレンケのパカル王の妃であるイシュ・ツァクブ・アハウは、発見された時に赤い辰砂(水銀と硫黄の化合物である鉱物)に覆われていたことから“赤の女王“と呼ばれる。その遺骨とともに埋葬されていた装飾品が、女王をイメージしてつくられた真っ赤なマネキンに添えられ飾られていた。展示空間も赤い。女王と対面した途端、直視することも憚られるほどの強烈な威圧感におそわれる。遺体は本物ではないのに、不思議な話だ。庶民がその姿を目の前で見ることもなかったであろう高貴な妃は、時代をこえてもなおその装飾品にまで神々しさを保ち続けている。

展示は全て写真撮影が許可されていたが、私も友人も暗黙のまま女王の写真だけ撮らなかった。女王の気高さの前ではひれ伏すのみだ。

碑文でみたマヤ数字とマヤ文字にも夢中になってしまった。近々、図書館で関連書籍を借りてみよう。自分の名前をマヤ文字で書けたら面白いかなと思うので。

※本展は写真撮影OK。私もiPhoneで撮影