積極的な受容

reito.vc
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僕の好きな美術家で、和田千秋さんという方がいる。

彼は(主に身体的な)障碍をテーマに作品を発表し続けているのだが、障碍という出来事に向き合う中で非常に示唆深い論考があって、それが「消極的受容」と「積極的受容」という概念だ。(1996年)

まず、障碍ということにも一次的障碍(正に障碍そのもの)と二次的障碍(能力低下や社会的不利)があり、障碍そのものを仕方のないもの/言い換えると、個性として受容することを彼は「消極的受容」と整理している。それに対する「積極的受容」とは、諦めで終わらず、二次的障碍をそのままにしない、と受容することだとした。自身の子が抱える障碍を軽くしてやりたいと訓練を続けることは、まさにこの「積極的受容」を経たものであると。

僕はこの考え方がとても好きで、それは、様々な困難に立ち向かうときに、困難そのものを受け入れつつも、今このときよりもより良い状態に到れるのではないか、と挑戦し続けることを肯定できるからだ。その行動は、あたかも困難はなかったかのようにみせたいだけの振る舞いにも見えるし、実際そういった逃避行動の裏返しとして観測されることもあると思うのだが、消極的受容を経たうえでの積極的受容というのは、人がより良く生きるなかでとても大切なことのように思う。

@teliot
ブログ reito.vc 未満の話を放流する気がします。