映画『窓際のトットちゃん』を見た。SNSで評判が良く、興味はあったのに、ぐずぐずしているあいだに上映回数は一日一回になっていた。
私と同じような人も多いようで、なかなかの入りだった。年齢層も幅広い。
見に行ってよかった。久しぶりに映画館で涙がこぼれる経験をした。
こどもの全裸表現があると聞いていたので、少し身構えていた。なんとなくそういった表現に居心地の悪さを感じるからだ。時代の描写だとしても、あるていどは描かない工夫ができるのでは、とも思っていた。もしかしたら、それが原因で、サブスクに入らないかもというつぶやきも見かけた。でも、小児まひを患っているヤスアキちゃんが、はじめてプールに入り、小さく身体が軽い、とつぶやくシーンで、はじめて涙がこぼれた。身体感覚を、視覚的な映像表現で描きこんだシーンの美しさ。エピソードで泣いた、というよりは、表現に心を動かされたのだと思う。
原作の小説は未読だ。でも、細部の変化による戦争の影の描写――西洋的な像から二宮金次郎にかわるトモエ学園の彫刻、空のいぬごやと首輪――など、アニメ映画であるからこそできた表現ということを強く感じた。
気になっているかたは、ぜひ映画館へ足を運ばれると良いと思う。