すき焼き

てのべ
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本日(と言いながら日付を越えてしまった)はうまみ第60回目!

欠けもなく毎月続けたとしても丸5年目です。圧倒的歴を感じる。

実はすき焼きを外で食べるのは人生初の経験だったのでお店に行くまでドキドキ。前日残業した影響もあってお風呂も入らず即寝て、13時頃に起きたので何も食べずに挑みました。うまみの時はいつもたくさん食べるぞ!の気概です。

今回はこちらへ!人形町の『日山』。

都内で人気のすき焼きを調べるとよく出てくるのでかなり有名なお店ですね。場所は人形町にあるんだけど、同じくらい有名な『今半』もこの『日山』の近くにあって、位置関係で言うと斜め後ろくらい。『今半』はお弁当やお惣菜もあってバリエーションが豊かです。いつかこちらも食べてみたい!

『日山』は1Fに精肉店が横に併設されていて、質のいいお肉が購入可能。お店に入る前にチラリと覗いていたら散歩中のわんさんが中に入ろうとしてて、飼い主のおばさまが小さな声で入らないよっと言っていたのが可愛かった。わんさんは鼻が良いから美味しいお肉もすぐわかるんだろうな。

時間になったので赤い階段を上がりお店へ。

靴を脱いで廊下を歩くと仲居さんがたくさんいてちょっとびびる。なんて顔して通ればいいんだ……レッドカーペットをいそいそ進み個室に入ってステンバイ。まずは飲み物からいきますか。

かんぱ~い!

わたしはクイーンオブブルーデラックスというすごい名前のお茶を注文。正直言って名前だけで頼みました。面白さで頼んだけど、こちら香りが良すぎてうっすら紫蘇みたいな風味がある。ちょっと紅茶っぽいのがお洒落でした。

まずはお通し。全く中身が見えないのだけど、料理としては蕪と蟹のオイル和え?みたいなもの。曖昧なのは聞いていた説明をすっかり忘れたからです。

味付けはシンプルで優しい!蕪の甘味と蟹の味が乳化された口当たりのいいまったり感でコーティングされているようですごいおいしい。家に常にあったら嬉しすぎる味。秒で完食。

次に前菜。

左から菜の花、タンシチュー、ローストビーフ、若草たまご(という創作料理だったはず)、海老芋の唐揚げ。

こちらも勿論全部美味しいんだけど、特に好きだったのが海老芋の唐揚げとタンシチュー。海老芋はお出汁の味がしっかりめに効いていて、衣が激薄い!海老芋がそもそも好きなのも相まってもはや嬉しいの域。海老芋って煮崩れとかしにくくて、里芋よりもキメが細かくて詰まってる分クリーミーなんですね。そのためか『ほくっ』より『さくんほろろ』という口当たり。500gくらいをパックに詰めて買って帰りたかった……。

そしてタンシチュー!こちらはすごい。タンがすっごい柔らかく煮てあるのが分かるんだけども、筋っぽさみたいのが一切なくて口当たりがあん肝とかに近かった。とても滑らかで味付けもしっかりしていたのにタンそのものの味がちゃんとあるっていうバランスが素敵だった。シチュー系独特の後味として残るお洒落な風味が良い意味で残らず、この後に他の淡い味付けのものを食べてもそれが負けないようになってる気がした。和食を食べる前提だったからかな?

そして早々にお肉登場。

美しすぎる……。すごいよな、見方によってはグロになりかねんのにこの姿を美味しいとか美しいとか思えるの。これが食育(?)

このお皿で4人2回分のすき焼き量。1枚がハチャメチャ大きい!こんな大きさで食べれるのかすき焼きを……。ちなみに部位が違って、どっちかがサーロインでどっちかが肩ロース。どんな違いがあるんだ~?!楽しみになりながら仲居さんに焼いてもらう。

ちなみに『日山』は関東式すき焼き。我が家は関西式すき焼きしか作って食べた事しかないので正真正銘初めての関東式だった。

関東式だと割り下が既にあって、野菜のうまみをお肉にやるイメージ。関西式だと野菜とお肉を敷き詰めた上に砂糖と醤油をぶわ~っとぶっかけてぐつぐつ煮焼く。なので野菜をもりもり美味しく食べるという側面もあるイメージ。

作られている最中からすでにいいお肉独特の甘い香りがしてくるのがたまらない。

1回目がこちら!こんなに丁寧に取り分けられたすき焼き知らないぞ。

丁寧にお肉が折りたたまれているのでこのまま食べると層になっているお肉を噛むことになるのだけど、あまりにもやわいので何層にもなっているのに気付くのが遅れるレベル。やわいと言いつつもトロッとしてるとか薄すぎるとかって訳ではなく、とにかく歯切れが良い感覚。えっすご!と思ってたらお肉のいい脂の甘みと醤油ベースなのが分かる割り下が混ざる。でも絡んでる生卵で中和されるので脂も醤油の主張も尖りすぎないからどんどん食べるスピードが上がるんですね~。バグ?

お肉がやわい分、さやえんどうのシャキシャキとネギのちゃきとろっとした食感の違いが目立って面白い。わたしは何においてもさやえんどうが本当に大好きなのだけど、味付け濃くしすぎたり焼きすぎると味も食感も変わるんですよ。でもほんと~にこちらのさやえんどうは丁度いい。味は薄めだけど素材の味そのまんますぎないので浮いてない感じだった。ネギは中央がとろっとしてて香りがいい~!ネギってすごいよね、どこにいたって超有能脇役になれる。主役にだってなれるポテンシャルあるのに……。

噛み締めながら1回目を楽しんでいたらすぐ2回目が登場。

筍だぁ~~!嬉しすぎ。そして豆腐も登場。最高か?さっきも最高だったけど。

こちらは1回目よりも加熱具合をちょっと甘めにしてた印象。お肉そのものの違いは正直あまり分からず……。うめえことしかわかんねえと思いながら新しく入ってきた野菜を食べる。我が家式では玉ねぎを入れないので新鮮な気持ちで食べたけど、そりゃうめえでしょって。とろっとろというところまでいかず、ちょっとシャキッと感のこるところで入っているのでどの食材とも被らない食感になっていた。

豆腐は表面にしっかり味がついていて、中身は豆腐そのままの味。豆腐ってしみこませすぎると味を吸い過ぎて濃くなりがちなのだけど、それがなかった。2回目は1回目と同じ器で割り下と生卵の混ざり具合がしっかりめになってきて汁っ気が増すので、豆腐はそれに浸しながら食べることが出来る。お肉→玉ねぎ→お肉→豆腐→お肉→さやえんどう→お肉→筍という感じで一口ずつ交互に食べていたら途中で仲居さんから「ご飯先にお持ちしましょうか?」とのご提案。えっいいんですか?!前のめりになる勢いでご飯を頼み、3回目に備える。

実はお肉はさっき上げた分で終わりだと思っていたので、白米の持ち込みタイミングを次のお肉でと仲居さんに言われた時次もあるの!?となっていた。その正体が、これ。

これはリブロースで、これまでのお肉の中で一番サシが細かい。そんで入り方が均等。一番美しい肉だと思っていたら仲居さんからこれが一番すき焼きに適したお肉と言われています~と説明されここにきて1番が?と震える。

そして、こう。

このタイミングで器も生卵も新しくなるという気合いの入りっぷり。写真には写ってないけど香の物もあるんです実は。

ここにきて白滝と椎茸~!?とびびる。しかも玉ねぎ2回目で、さっきよりしっかり火の通ったトロみのあるものがくるというヤバさ。おいおいおい……いいのかよこんなことして……。

すき焼きに一番適してると言われるリブロースをいざ!と食べてみたけど、意外にも一番肉肉しさを感じた。そして本当に味の馴染み方が一番いい。脂だけじゃなくて肉そのものの味の主張も一番強かった印象。だからかそれまでと比べて一番割り下に含まれる醤油の主張が丸い。それまでに出た野菜のうまみが混ざってるのもあるのかな?噛んだ瞬間も柔らかすぎなくてしっかり食べ応えがある。1,2回目のものは噛む回数少なくても美味しいけど、リブロースは多く噛んだ方が幸福度が上がる感じだった。いやもう全部美味しいんだけども!こりゃ皿も別に盛られるわと妙に納得させられたのでいい体験でした。

そして白滝。こちらの白滝ちょっとわかりにくいけど、すごい細い!仲居さん曰くお肉のうまみを吸いやすくさせるべく一般的なものより細いものにしているそう。確かに染み具合が尋常じゃなかった。素材として味が存在している豆腐と違って白滝は味を吸うことで本領発揮する食材なので、何よりも味の入りがいいんですね。一本一本細いのにくたくたになってなくてぷつんと噛み切る達成感?がある歯ごたえ。そのうえでこれまでの味を吸いまくってんだから箸が止まんないのよ。2回に分けて食べようと思ったのに1回で食べきってしまった……。

このあとにより加熱されてしっとりになった玉ねぎを食べる。しっかし玉ねぎはネギと並ぶ超有能脇役よねほんと。豆腐まではいかないけどしっかり焼かれているので薄い焼き目がついている。でもほんと~に薄いので香り程度にとどまってて、それが玉ねぎそのものの味と相性が最高すぎて大好き。

そしてすき焼きには外せない椎茸。我が家式だとかなり味を滲みさせるんだけど、こちらは中までしっかり!というより椎茸そのものにしっかり火を通すという感じで汁に浸しながら食べて丁度いいくらい。素材味そのものの残り方で言えば一番主張が強かったかもしれない。でもそれがいい!香りも椎茸感強く残っているのでお肉に負けないくらいだった。なのでお肉だけっていう事にもならずバランスが良いな~という感覚。

ご飯はお櫃が部屋にきたのでウキウキでおかわり。お肉で1杯、香の物で1杯という配分だったけど正直言ってあと1杯いきたかった……。でもお腹はもういっぱいだったんや。いつもは好きなものを逸品づつ食べきることが多いんだけど、如何せんすき焼きという料理がどうやっても味付けが濃いので、もたれないようにバランス良く食べるのを意識していたので汁物、ご飯もの、お肉、香の物のループ。すき焼きは1,2回目も3回目も汁までいただき、残ったご飯は香の物でいき最後は赤だしのお味噌汁で〆る。こんなに幸せな組み合わせがあっていいのか?

家だと肉3枚~?もっと食べたいよ~とか言ってるだろうに本当にお腹いっぱいまで食べれて充実度が高い状態ですき焼きを終えた。デザートに果物がくるということで暖かいお茶を飲みながらまったり。こういうお店ではこのまったりしてる時の余韻がまた幸せなんだよね。個室なおかげで他所の会話とか不要な音が入ってこないので快適なのが素晴らしい~こういう時にサービスの質という概念が脳裏によぎる。サービス料ってのはこういうところにも含まれているんだなあ。

そしてやってきたデザートは苺。わっ嬉しい!となる前に驚く一同。

仲居さんの手元で遠近感が狂ってるのか、仲居さんが小さくなったのかは知らないが我々から見るにしてはなんだかでかい。ん?となっていたら目の前にやってきた。

でかすぎんだろ。

ド級の苺だろ、とあまりの大きさに妙な笑いが出てきて大きさ比較に握り拳を作ってみる。苺の大きさ比較ですぐ横に握り拳作ったの人生で初めて。

うまみメンバーはみなオタクなのでクソデカに弱い。この苺が手元にやってきてから笑いが止まらずにいたら仲居さんから説明が入り、これが古都華と呼ばれる品種のものだと判明。品種そのものは前から知っていたんだけど、まさかここで食べることになるとは。

読みは古都華でことか。雅よね~。わたしがこれまでに見た事のあるものは一般的な大きさのものだったんだけど、5Lとか6Lとか呼ばれる規格があるらしい。調べてみたら海外の王室に献上されていた。マジか。

もはや意味あるか?という華奢なフォークにも笑ってしまい、ヘタを取ってそのままかぶりつくようにいただく。

インパクト重視なのかと勝手に思っていたのでしっかり甘いその味に驚きつつ齧ってもまだデカいその様子にフスフス笑ってしまって思いがけぬエンタメデザートを楽しんだ。

各所にある置物や仲居さんの対応、そしてすき焼きのお味も最高でした!今度は家族と来たいな~。

家用に1Fでお肉を買おうとしたらもう精肉店の方は営業時間を過ぎていたらしく閉まっていたので、ドデカ苺を引きずって帰り際にあまおうととちおとめを購入。明日明後日のデザートとして食べよう。

そしてこういういいお店に行くたびにいつも思うけどとにかくお皿がいい!

新年会の時に行った『うお輝』でも言っていたけど、お店の雰囲気に合わせて柄や素材感の合わせ方にお店ごとの違いがあるんですよね。料理のコンセプトやシチュエーションなんかに合わせて変えているんだろうけど、器の大きさも色も柄も全部違うのにちゃんと合ってて、見てて飽きない。和食だと盛り付けの美しさが器との親和性というかたちで現れるので、目からも満足度が上がるのが良いな~。『日山』はそこで言うと全体的にシンプルだったけど、ほっとするような可愛らしい雰囲気が残る丸みや柄が印象的でした。

労働頑張るか!と活力チャージが出来るのがうまみのいいところ。今回もありがとうございました!

@tenobeee
一日一ページ。無理せず更新。 特に何てことないものを書きます。