OMORIをやったことがないもしくは気になっている方は読むのをおすすめしません。初見の感覚が肝になるゲームなのでなんの情報も仕入れずプレイしてください。ただやはりこれだけは言っておいた方がいいかな、というのは「精神が元気な時にやってください」とあんま怖くないという感想もあるけどたまにホラー要素があってまぁまぁ怖いですよという点かな。やめたくなるほどじゃないけど部屋で「怖いんですけど…」とひとりごちる程度には怖かったです。
1周目はグッドエンディングでしたので、主にグッドエンディングの感想を書いています。
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まずOMORIは元々気になっててなんとなくネットの評判も良さそうだし多分自分は刺さるタイプのゲームだろうなということはやる前から思ってて、知識としてはインディーゲームのトレーラー映像を、買う少し前に観たぐらいだった。プレイする頃には大体の部分を忘れていたけど今思うとこのトレーラー映像すらも観ない方がいいなと思う笑それぐらい何の事前知識も仕入れずにプレイした方がより強いインパクトを(いい意味でも悪い意味でも)残すゲームではある。
プレイを始めてすぐホワイトスペースにいる所からスタートしたわけだけど、スケッチブックの絵を見た後ナイフを拾った時点で(この子は…何かしらの犯罪を犯したのではないか?)と直感的には感じた。なんだろう、スケッチブックの絵、犯罪者の絵を見た時のどこかしら冷えるような感覚を覚えてね…この子に一体何があったんだろう、主人公でこれから操作することにはなるけどどうやらこのキャラのことは一歩引いた目で見た方がいいなと思ったのが第一印象。プロローグ(の割に結構なボリューム)の精神世界でのプレイを終えていきなり現実パート(しかも数年後)になったのはびっくりした。プロローグの世界がリアルではないとわかっていたけどそこから時が進んでいたとは思わなかった。そこで初めて精神世界での名前の「オモリ」とは違う名前を自分で設定出来る画面になり、普段だったら「テクニコ」だとかごくまれに本名でプレイするんだけど先述した通りこの主人公のことは一歩引いた目で見ていたこともありどうしても自分を反映する名前をつけようとは思えず、デフォルトの「サニー」にした。別ゲームでもなんとなくデフォルトの名前にすることはあるけど、これは明確にデフォルトの名前にしようという気持ちがあったな。それくらい、冒頭はオモリ(サニー)の考えていることが全く読み取れなくて攻撃もなんか悲しいポエムを読んで敵や友達や自分をしょんぼりさせてしまうわナイフを持ち歩いて敵を切り裂いてるわで、お友達とは異色を放つ攻撃にどうしてだろう…という思いもあった。
現実世界のストーリーを進めているうちに、精神世界にいた困った時は話を聞いてくれて体力も回復させてくれるお姉さん的存在(現実でもオモリ=サニーの姉)であったマリは現実世界では亡くなっておりどうやら死因が自殺だということが語られる。マリの死をきっかけにサニー(オモリ)とお友達のオーブリー・ケル・ヒロ・バジルの運命が大きく変わってしまい・・・というのが第一のストーリーのインパクトになるポイントだった。そしてこの精神世界は過去、まだマリが生きていた頃のサニーの理想や記憶その他諸々が反映されていたことが判明する。
現実世界と精神世界を行き来しているうちにサニーの輪郭がだんだんはっきりとしてきて、冒頭で抱いていたサニーのことが読み取れない恐怖、一歩引いた目で見ようという少々の警戒が少し解けて、バジルのアルバムの中のサニーくんは本当にいい子そうで、終盤でみんなでアルバムを元に戻すシーンは涙が出た。でも精神世界での冒険を進めるうちサニーの精神がより暗いところへ向かいより深度が増していくのだがそこでまたサニー及びオモリのことがよく分からなくなり、恐怖のブラックスペースへ…。そして、真実が語られることになる。
このゲームはバジルのアルバムがキーアイテムで、何回かアルバムを見る機会があってマリがいた頃のサニーやお友達の写真を定期的な頻度で反芻することになる。そして、真実が判明するこの作品の最大のインパクトでもバジルのアルバムが活躍してしまうのだが、真実を語る写真を集めるの色々とキツかったな…。
しかもこのゲーム、冒頭に「うつ病・不安神経症・自殺の描写があります」という注意喚起があって、それがミスリードに繋がった。そして変わり果てたツリーハウスを見た後は、自分が一番最初に覚えたオモリ(サニー)へのちょっとした恐怖は間違ってて、マリは何かがあって自殺をしてしまった、その要因を探っていくゲームなんだという勘違いに見事に(?)ハマってしまった。というかそう…思いたかったのかもしれない。そう…思いたかったです…。いや、マリが自殺してしまったとしてもかなり辛いけど…。
正直この真実はかなり賛否両論が分かれるんじゃないかと思う。やらなきゃよかったと後悔するプレイヤーがいてもおかしくないと思う。私もプレイした後はしばらく余韻に浸るではなく「苦しんで」いた。一歩引いた目で、と言いつつ終盤あたりの行動は自分がこうしたい、と思う行動/考えに則って行動をしていた。いや、それ以前に現実世界でドアを開けて外に出る決心をしたのも自分の意思だったか。(最初のドアを開けた時はほんとこわくてケルくんの時も何かトラップじゃないかとドキドキした笑)そうしたら結果はグッドエンディングになったわけだけど、正直これが…グッド…エンディング…?となった。結果として冒頭自分が直感的に覚えた感覚は当たってしまい、冒険を進めるうちに薄れていた感覚がまた浮き上がってきてしまった形になる。ただ真実の写真を見た時はやっぱりそうだったか…ではなくて冒険を通してサニーの世界を見てきたからかサニーくん、それはだめだよ。それはだめだ。という感覚が強く、終盤あたりの精神世界とはまた違う世界で過去の思い出を辿る時もどこかボーッとしていた。
終盤のお友達たちの言葉だって、あくまでサニー(オモリ)の想像でしかないわけで、お友達にもそれぞれの考え・世界観があるわけだから真実を打ち明けた時どういう反応をするか、その後も友達でいてくれるのか…とすごく複雑だった。警察に行った方がいいんじゃない?とかも思ってしまったり…グッドエンディングでは友達に真実を打ち明けようとする所で終わってて、友達の反応を見ることは出来ない。プレイヤーの想像に委ねられている。衝撃の真実を言ったあと、そんで自分は引っ越すんだよね…バジルは一人どうするの…とも思ってしまって…う〜ん…ともう本当に苦しかった!
EDでは車窓から見える青空が流れてきてて、音楽は穏やかなんだけど歌詞はおそらく物悲しい(英語だったので分からない)曲がエンドロールと共に流れている間も呆然としていた。これまでプレイしてきてお友達から見たサニー・バジルへの思い、アルバムの中で楽しそうにするみんな、かたやサニー・バジルの抱えきれない苦しみとのズレが苦しすぎる。マリは生きててみんなでグループハグする世界線どこ涙グッドエンディングこれやろ涙
「あなたは彼女を愛していた。なのにあなたは彼女を殺した。」物語のラスト、自分の別人格であるオモリとのバトルでオモリから言われる言葉である。自分がもしお友達の立場だったらサニーを許すことが出来るか?など色々考え込んでしまった。特にマリと恋仲にあったヒロはどう思うか…サニーのことが憎くなるんじゃないか…でもマリはそんなことは望まないだろうと苦しむことになりそうで…。苦しくて、プレイしてしばらく経ったあと「OMORI 許せない」で検索した。ら、やはりグッドエンディングで同じように苦しんでる感想が出てきた。し、これが一番正解、だからグッドエンディングといえるという感想もあった。私は正直まだこれがグッドエンディングなのか…分からない。一歩引いた目でプレイしていたはずがサニー(オモリ)の世界に浸るうちに複雑な感情と化してしまった…。
グッドエンディングをプレイした後の感覚は、おやすみプンプンを読んだ後やリリイ・シュシュのすべてを鑑賞した後の感覚に近い。空は明るいし光は眩しいんだけどその分影は濃くて・・・って感じ。あとから調べたらOMORIの原案者であるOMOCATさんの好きな漫画にプンプンが上げられててやはりか…となった…。どちらの作品も同じく精神が元気な時に触れてください。
以下小話的な感想
・MOTHERぽい雰囲気とか多分UNEDERTALE(未プレイ)のような雰囲気を感じられて良かった、リュカっていう愛犬が出てきたのはやっぱりそういうこと?OMORIが好きな人はMOTHER3もきっと好きでしょう…。
・OMORIはHIKIKOMORIから来ているらしい。なるほど!気付かなかった。やる前は「OMORI…オモリ…心の中の重り…ってコト!?」とか思ってたな…。
・サニーの両親について
父親の不在が気になる。ブラックスペースかブラックキーを見つけた後の穴で見たことか忘れたけど父親らしき人物が木を切りつけながらお前なんか…みたいなこと言っているシーンがあったのだけど、父親は出ていったのかな…とか気になってしまった。母親も手書きのメモは愛があるけど引越直前というのに息子を放置しているし、精神世界ではサニーにおびえているような描写もあった。両親は真実を知っているのではないか?という考察を見て震えてしまった。やっぱりどのルートを辿っても地獄なのかもしれない。
・プロローグ時点では実はオモリとバジルは同一人物で人格が分裂した存在なのでは!?とややこしい考察をしており…結果オモリはサニーが生んだ別人格だったわけだけどバジルくんは現実世界でいた時は「あ、ちゃんと存在していた…すまん!」となった笑(笑ではない)
・バジルの背景も気になる。バジルくんのことはサニーと同じくらい、いやそれよりサニーより「分からない」(読み取れない)かもしれない。本当に最初の方は主人公の別人格とか思ってたしその後は何か一番暗いものを抱えている子なんじゃないのか…とか疑ってもしまってた。まぁ結果的にサニーと同じ苦しみを抱えていたわけだが…。でも「大丈夫…きっとうまくいく。」ってえ、あの時の言葉…?って思うと印象が変わりますよね…
・ブラックスペースでの各所バジルくんの顛末怖すぎて…スイカの所声出ちゃったよ…オモリ(サニー)はバジルのことをどう思ってたのかな…
・オーブリーちゃんもオゥンオゥン……(泣)家の外観を見た時から察してしまったけど…マリの死をきっかけにサニー達とは一度疎遠になって不良になって別の友達とつるみ始めるんだけどこの友達たちもいいキャラしてるんだよね、マーヴェリックが好きすぎる笑
・ケル・ヒロの存在はめちゃくちゃありがたかったな…ケルくん・ヒロくんみたいな子がいてくれてよかった。と何回思ったことか。ヒロくんの母、過剰に家族というかヒロくんのこと心配しててちょっと大丈夫?と思ったけどマリの死からの落ち込み具合とか見て心配になったからかな…とか思ったり。この作品はどうも大人の心情が読み取れないな…。
・プレイした後は解けなかった謎(ブラックキーあと2つどこあんねん)もあるし別ルートも気になるしでもう1周したくなったけどすぐやるには気力が…少し時間を置こう、と思いその後コーヒートークとどら焼き屋さんをやることにしました(急な方向転換)(自分はこういう風に両極端な作品に触れることで諸々のバランスを取っています)クリアして少し時間が経ったのでまたプレイしたいという気持ちになってきたので、そのうちもう1周すると思います。周回プレイをするには少ししんどい(1周クリアするのに25時間〜30時間はかかる)
・グッドエンディングを見た直後、いい感じに分岐になりそうな所のセーブデータが残ってたので(多分こう行動したらエンディング変わるかな?)と別の行動したら別のエンディングが見れた。見れたけどめちゃくちゃ後味悪かった。あれは逃げるな卑怯者!(突然の炭治郎)ルートでは?他のルートもやったら印象変わるかな。感想を漁ってるうちに若干ネタバレっぽいの見ててちょっと分かっちゃってるのもあるけど。
・OMORIはずっと前から気になってて、ある時ボカロPのきくおさんがOMORIの曲をカバーしてて余計やらなきゃ!ってなってたんだけど、My Timeって曲だったんだけどいざゲームやったあとこれどこでかかってたんだろう?って思ってたら別ルートの曲だったようです。
・色々書いたけど、個人的にはやってよかったゲームだと思っています。音楽がとても良くて。各配信サイトにサントラが配信されててクリアした後早速聴いた。VSダウンロード画面のBGMが良すぎる。
・資料集欲しいけど海外だし円安ゥ…でなかなか買えずにいる。でも表情の差分が豊富でほんと魅力的だし欲しすぎる。
・正直よく分からないことも多い。真実の写真も所々暗くてよく分からなかったし(自分があまり直視したくなかったのかもしれない)アルバムの文字は読めない仕様になってたし。OMORI真生版欲しい(ゲ謎みたいに言わないで)
雑談
OMORIから気になったもしくは共通項を感じた作品、動画
まさかの名越先生OMORI解説動画あげてくださってた。めちゃくちゃ気になる。OMORIやったあと人の感想が凄く気になったんだけど中でも(前見た名越先生のデトロイトの解説面白かったよなーOMORIもやってないかなぁ)って思ってた矢先に!めちゃくちゃ嬉しい。なんだか最後までやってるっぽいので時間はかかるだろうけど絶対観る。他の実況も気になる(自分は実況見てゲームがやりたくなるというよりやったゲームの実況を観たくなるタイプです)
変な絵
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冒頭のスケッチブックの絵から犯罪を犯した人物の絵について調べてみようと検索したらヒットした作品。名前は知ってたけどホラー小説のようだしなんか共通項あるかな?ないかもだけど普通に面白そうなので読んでみようかな。
おやすみプンプン
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これもなんか…うん…(察して)な作品。鬱です!おやすみプンプンも、世間に読みましたー!みんなも読んでみてー!と声を大にしておすすめは出来ないけどでも感想は語り合いたいという不思議な作品です。シンエヴァ観た時ピンドラ観てて良かったと思ったけど同じようにOMORIとプンプンを相互的に触れたら化学反応起きるかも。自分はED見たあと真っ先にこの作品を思い出しました。おすすめはしませんが読んでみてください。
リリイ・シュシュのすべて
まぁこちらも明るい作品ではございません。鬱です!(2回目)これも形は違えど中学生ぐらいの少年たちの揺らぎが描かれています。おすすめはしませんが機会があれば観てみてください。
きくお/My Time
先述したカバー曲。今はちょっとネタバレ回避で聴けてない。作品で実際聴いたらまた聴こうと思います。
14souls/ART-SCHOOL
決して明るいとは言えない作品に触れたあとの14soulsはしみるんだよな〜。自分これプンプンのテーマソングじゃないかと思ってるぐらい(読み終えた時ほんとこの曲が流れてきた)なんだけど、OMORIのことを思いながら聴いてもなんか良かったです。良かったです?