「私の」時間②

テトラ
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公開:2025/10/20

最近早起きが身についてきた。これまでは平気で午前中を寝潰していたこともあるのに、6時半には起きるようになった。

1時間後には家を出て、緑のセイレーン(サイレン)のロゴを目指して散歩する。まだ道行く人は少なく、秋らしい澄んだ空気に満ちていて、今日が素晴らしい日になる予感がする。

予感がするだけである。

実際には早起きが祟って無気力な午後を過ごす。成果ではなくスクリーンタイムが積み上げられていく。そのうちに脳内が大して役に立ちもしない情報でいっぱいになり、息切れしながら見る時計が20時を差していて後悔する。その繰り返しである。

実家にいた頃は、自分の思いどおりに子どもを動かしたい母親と、自他共に規則正しく過ごさなければ気の済まない父親がいて、良くも悪くも日々のルーティーンがあった。

実家から離れた現在は、私がいつ何をしようと自由である。そして、私がいつ何をしようと私の責任である。おだやかで、怖い。

1日の時間は限られているから、どの瞬間も「私の」時間であることを忘れたくない。SNSのタイムラインに流れるニュースに気を取られれば、その瞬間、私は「私の」時間ではなく、「ニュースに登場する人物の」時間を過ごし、出来事を追体験してしまうからである。

世間から断絶しようというのではない。ただ、情報にあふれた現状を生き抜くには取捨選択が必要だと思うだけである。

明日も早起きできるだろう。午前中は「私の」時間になるだろう。

午後を「私の」時間にできるか、年末までの課題になりそうである。