恒常性

Midori
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山口一郎さんの言葉「変わらないまま変わる」がすきだ。確固としたアイデンティティを持ちつつも変化を恐れずに(受け入れて)多様な表現をしていくということだろうか。実際どこまでの意味が込められているのか、音楽性についてなのか生き方そのもののことなのかわからないけれど、私はこの言葉に共感すると同時に、生命活動のことについても想起する。

どの生物も、生体内外の環境変化に対して恒常性(ホメオスタシス)を維持する機能がある。エネルギーが不足すれば取り込もうとし、老廃物は排出しようとする。インとアウトのバランスが取れていることを定常状態というらしい。

ヒトも二次元やVRのアバターではなく生身の人間であれば例外なく多数の臓器からなり、神経、循環器、呼吸器、消化器、内分泌など幾多のレイヤーが相互に作用し、生命活動を高度に維持している。驚異的な仕組みだが、やがてはこの恒常性は誰しも失われ、生命活動は停止することになる。

ミクロにみると生体内では、エントロピーの増大に抗うように常に分解と合成を繰り返しているという。身体を少しずつ常に修復する。この危ういサイクルでバランスを取っているのが生命であり、機械との違いである。福岡伸一先生の「動的平衡」で学んだ。

壊すことと作ることは表裏一体。常に変化しているが全体として変わらない。生命はまさに、変わらないまま変わっているのだ。

@tgmidori
みどりです。