対話を否定したのは寅子

ちどりん
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公開:2024/7/21

深いとかすさまじいとか絶賛する声が多いけど、意識高そうな場面を作るのに必死で、そこに至る経過や時代背景は雑だし、むしろ描写が足りない

ただ「意識高そう」=「深い!すさまじい!」って絶賛する層の声がデカい

マジでデカい

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映画『エターナルズ』のことですよ

(・┰・) アカンベー

これを書いたのが7月6日で、7月21日いま現在『虎に翼』の感想絶賛ブームはうっすら終わったようで、うちのママ上も「女学生時代は面白かったのにな」って言ってる

下手な作劇はだいたい似たような構造的欠陥を抱えている

『虎に翼』朝ドラとしてヘロヘロ見る分には申し分ないんだろうけど、基本的に脚本が下手

脚本のやりたいことが演出側に伝わってないンだと思う

もしちゃんと伝わってるなら穂高先生を前半でヴィランとして確立しておかないと、ちぐはぐになる

そんなの素人でもわかる

そのあたりが読み込めないあたり、""アップデートに自分のプライド全賭けしてる系のひと""がドラマを見るのに慣れてないのが浮き彫りになる

危なっかしいと思ってる

まぁ個人的には映画『エターナルズ』のときから感じてたことだけどね


穂高先生は悪者なので、ハレの席で批判すれば、視聴者はスカっとする

そういう目論見だったんだろうけど、そもそも寅子の怒りが頓珍漢なので、視聴者にはヒステリー女に見える

演者の伊藤沙莉が「なんでここまで怒るんだろう?」って思ったって時点で失敗です

>すごいことを成し遂げた先生を尊敬していたのに、そんな後ろ向きなことを言わないでよ!

って気持ちだったとHPに書いてあるけれども

それなら、花束渡しながら「先生は雨垂れじゃありません、岩を穿ちましたよ」って言って拍手で穂高先生を見送るっていうってのがドラマとして美しいのに、あーゆー仕上がりになったということは現場も「なんじゃこりゃ?」って感じだろうし、そりゃ見てるほうも「なんじゃこりゃ?」ってなる

そもそも論であれなんだけど、諸悪の根源みたいに言われる妊娠時の穂高先生の発言って、そんなに悪かったか?

仕事頼んだら倒れちゃったから心配になって聞いてみたら妊娠してるのか、じゃあ休めば?っていうので、そんなに怒る必要がある?

「休むと女性に弁護士は務まらないってなりそうじゃないですか」

「休みながら弁護士を続ける方法を考えていこうよ。そのまま仕事続けて倒れてキミが死んだら、もっと女性に弁護士は務まらないってなっちゃうよ」

って対話することも可能じゃん

いきなり「やめたらぁ!」ってなんなよ

そりゃ、よねも怒る

対話を否定したのは寅子

ここ重要なので、もっかい書くけど、タイトルにもするけど、対話を否定したのは寅子

これを忘れないようにしていただきたい

女性弁護士としての先達として、今後どうしていけば後進も働きやすくなるかっていうのを考えず、ヒステリー起こして勝手に辞めたのは寅子

しかも当時は戦時下で、生めよ増やせよの時代

「生まれてくる子供のために休む」っていうのは、女性の権利の否定という視点のみで語るには難しい

ここで穂高先生をヴィランとして見ること、そう思ってる寅子を正当化して見ることは無理

無理なんだよ

信じてるひと以外には


『不適切にもほどがある』で「セクハラをしない心構えとして、自分の娘と接するように接していこう」っていうので、一部の視聴者が「それはーーーいまのセクハラゲンロンではダメになってるんですぅぅ、クドカン後退したぁぁぁ~~」って騒いでたのを覚えてますか?

ドラマの流れとしてはAV女優もオカマタレント(当時)もだれかの娘(息子を経て娘)だと主人公が気付いて「女性はみんなだれかの娘なんだから、そういう心構えで接していこう」って高らかに歌い上げ、娘のほうにも「自分のことを大事にしてね」って言い添える

ドラマの時代背景、流れとして、特出してダメな部分があったとは思ってない

ただ、「いまのゲンロンでは違うんです!」っていう一点で大幅減点してたのを覚えてますか?

『虎に翼』で妊娠出産したら仕事をやめるように言うのはアウト!それをアウトだと表象した、このドラマは素晴らしいいぃぃ!って一点で大幅加点してるのと構造としては同じだということを理解できますか?

当時は戦時中だったとか、主人公は職場でだれにも相談してなかったとか、恩師に頼まれた仕事を吹っ飛ばしたとか他にアウトなことがいろいろあったのに、ドラマの時代背景や流れを無視して絶賛してる

結局見てるのがドラマじゃなくて、思想なんだよね

こーゆーひとら

映画『エターナルズ』で主人公の面々がサノスやヒドラやロキなどヴィランのそれまでの所業にずーーーっとだんまりだったこと、ディヴィアンツちゃんと対話しなかったこと、無為にディヴィアンツを殲滅してスッキリしたこと、そもそも戦闘シーンがド下手くそなこと、そーゆー流れ全部をすっ飛ばして「アジア系女性監督が撮った!多人種がメインキャスト!同性愛ヒーロー!原爆のことも触れた!」って情報だけで絶賛してるでしょ

構造としてまったく同じ

映画を見てない

情報を見てるだけ

自分の政治信条に沿うか、沿わないか

それでしか判断できない

そして『沿う』とハンコを押されたモノは、あらゆる問題点がなかったことになる

すべて、すばらしい脚本家さまがなされた、すばらしい御業みたいなストーリーに組み込まれてしまう

寅子の頓珍漢な怒りとか桂場の皿食いで、多岐川のあからさまなセクハラがかき消されてるけど

あれ、いいんですか?

あれをなんで許してるんですか?

寅子は、そしてあなたたちは 


ずーーーっと言ってるけど、寅子ってナメてる相手にしか「はて?」って言わないし怒ったりもしない

桂場とか多岐川とかライアンには「すん」ってしてるくせに穂高先生にはぎゃーぎゃー言える

穂高先生をナメてるから

戦前戦中時代に「はて?」も言わず「スーーーーーン」としてた弁護士資格もってる女が「雨垂れって言った!あたしのこと、雨垂れって言ったなぁぁ!」って逆ギレしてんのコントみたいだなって思った