この年になるまで、まともにダイエットをしたことがなかった。贅沢な話ですが。はじめてのダイエットを決意したのは2020年。コロナ禍で在宅勤務になった途端、うすうす増えてるかもな〜と思っていた体重が無視できない数字になった。家にいるだけなのに?だってフリーランスの夫もずっと家にいるし、同じもの食べてるのに?体重が増減した経験がほとんどないため因果関係が全く見えず、「何もしてないのに壊れた」状態だった。あれから約4年半。

結論から言うと、1年で8キロ痩せた。その後もまあ多少の乱高下はありつつも、現在までキープできている。すごくえらい。けれど具体的に何をしてきたかを考えると、めちゃくちゃ地味で何のひねりもないものだ。これを書き残すまでに、すごく時間がかかった。全然面白いものではないことを、誰へともなく、先に言い訳させていただきたい。

摂取カロリーより消費カロリーが多い状態を維持すれば、人は痩せる。というめちゃくちゃ地味で何のひねりもない真実。結局私がやったのはそれだけだ。コツを一つあげるとすれば、意志に頼らないことだと思う。人の意志は弱い。少なくとも私は弱い。やるぞ!という気持ちによって実現できたことが、人生で一つもない。30年以上自分やってると、さすがにわかってくる。必要なのは意志ではなく、意志ゼロでも自動でやってるしくみづくりだ。
そもそも、すこしくらい無理しても死なない20代と違って、30代は無理すると即パフォーマンスに影響が出る。ケーキ食べないと乗り切れない会議とか、酒飲まないとやってられない夜とかも発生する。それを許容できないと、どんどんしんどくなってしまい、結果として挫折する。意志ゼロでやるためには、すんごい疲れてる状態を思い浮かべ、その状態でできることで計画するとよい。

「摂取カロリー<消費カロリー」にしとけば痩せる、というシンプルなルール。古今東西さまざまなダイエット法が浮かんでは消えていくが、簡単!〇〇だけ!のようなダイエット法は、それが万人に適用されるように、極端な方法を提示しているものなのだと思う。つまり極端に摂取カロリーを減らすか、極端に消費カロリーを増やすか。自分用ダイエット法にはその必要がない。計算して自分に必要な分だけ変えればちゃんと痩せる。めちゃくちゃ地味だけど。以下にやったことを並べていく。
毎日体重をはかる。まず、乗るだけでクラウドに体重が記録される体重計を買った。バスマットの横に体重計を置いておき、朝シャワーを出た後にスッと乗る。意志ゼロ。こういう「毎日やる」みたいなことは、すでに毎日やってることをトリガーにすると習慣化しやすい。ちなみに、珪藻土バスマットと体重計が一体化したものとかいう神ツールもあるらしい。今買うならぜったいこれにする。
次に、普通に生きてるだけで消費するカロリーを把握する。正しい用語では、基礎代謝(生命維持用の最低限エネルギー)と生活活動代謝(日常生活で使うエネルギー)というらしい。基礎代謝は身長・体重・年齢・性別などで計算でき、サイトもいろいろあるのですぐわかる。生活活動代謝は家事などでも発生するが、たぶんだいたいの人で大きいのは移動。スマホを持ち歩いていれば、歩数計が消費カロリーを出し、勝手に記録してくれているはず。
そして、食べるほうのカロリーも把握する。ご多分に漏れず、あすけんにお世話になった。食べたものをぽちぽち記録する。もともとごはん食べながらスマホさわってる(行儀悪い)ので、苦なく習慣化できた。食事記録のすごいところは、続けていると「こういうものは〇キロカロリーくらい」がわかるようになることだ。これがかなり大きかった。自分に出入りするカロリーの解像度が上がり、漠然と痩せよう~ではなく、具体的な数値で考えられるようになる。

数値化して気づいたのだが、私の体重がにわかに増え始めたのは、在宅勤務になって移動の消費カロリーが無くなったことが原因だった。通勤していたら消費するはずのカロリー、徒歩10,000歩で約300kcal。これをあらゆる手段で減らし「摂取カロリー<消費カロリー」に調整していく必要がある。いやでも300kcalって、結構難しいんですよ。
手っ取り早いのは運動だ。フィットボクシングを20分で150kcalくらい(消費カロリーでみるとリングフィットよりフィットボクシングのほうがタイパがいいぞ!)。これを朝のルーティンに組み込むことに成功した。どうやら私の「運動めんどい」の半分くらいは「着替えめんどい」だったようなのだ。起き抜け、寝巻きのままSwitchを起動。フィットボクシングして、汗かいた寝巻きを脱いでシャワーに入る。あがって体重計に乗り、仕事用の服を着る。もともと毎日着替えるタイミングだったところに運動を挟んだかたちだ。これで噓みたいに運動できるようになった。この私が。とはいえまだ150kcalしか減っていない。
のこり150kcal分の運動は増やせなかった。週末にまとめてやるか…?とも考えたが、150kcal×7日間=1,050kcal分になると、ランニング20kmとかになってくる。無理無理。よって食べるほうの細かい調整にした。炭水化物をすこし減らしておかずを多めに食べる。お酒を一杯だけ少なくゆっくり飲む。おやつをチョコからナッツやフルーツに。小腹が減ったらサラダチキン、ゆでたまご、ふかし芋(好物)。ちまちま10kcal減らすのを重ねて、1日で150kcal減らすイメージだ。ハムとたまごのサンド(332kcal)を食べたいときに、ジューシーハムサンド(304kcal)を選ぶ感じ。これくらいだったらやれる。
こうやってちまちま計算し、消費カロリーのほうがギリ多い状態を1年持続してたら、8キロ痩せてました。ほら、地味だって言ったでしょう。

とはいえダイエットやってみて一番良かったのは、実は痩せたことではない。ちまちまやって1年たったら変わってるということ、いわゆる「努力」のやり方がわかるようになったのだ。意志ゼロで自動でやってるしくみづくり、これが「努力」の正体だったもよう。この後、半年かけてTOEICの点数を150点あげたり、1年かけて知り合いを30人増やしたりできた。「努力」すごすぎ。
もしかしてみんなこれ知ってる?って思った。たぶんこれ、勉強や部活などで学生時代に習得している人が多いのでは?私はそういうのをやってこなかったので、ダイエットで習得できて幸運だった。「努力」の習得法としてのダイエット、おすすめです。