危険の水準

t_kura
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日本という国は治安が良いなと思う時がある。Netflixの番組「潜入!世界の危険な刑務所」を観れば、きっとあなたもそんな気分になるだろう。これは世界中の「危険な刑務所」にレポーターが二週間ほど滞在し、前半は囚人の目線で、後半は看守の目線で刑務所…いや国の抱える問題や改善すべき課題に目を向けていく番組だ。

この「危険な」という言葉は刑務所内の暴力に限ったことではない。想像を絶するような劣悪な環境に囚人を置いている刑務所も存在している。看守を買収したり、当然のように麻薬が売買されていたり、ゴミを漁って食事の器にしたり、職業訓練所や作業所が機能していなくて囚人はずっと外で暇つぶしをしていたり、刑務所や国が抱える課題は様々だ。国内の刑務所では考えられないような状況にきっと驚くことだろう。当然この番組を食事中に観るのはオススメしない。

この番組はリポーターの腕にかかっていると言っても過言ではない。とてつもなく危険な環境に身を置ける、冷静で屈強なリポーターには毎回尊敬の念を抱かざるを得ない。シーズン2から担当するリポーター、ラファエル・ロウは冤罪で終身刑を言い渡され、何年も刑務所に入っていたという経歴を持っている。刑務所にあるようなルールや危険性を敏感に察知して立ち回れるような彼でさえ、危険な場面に何度も何度も遭遇する。彼は今置かれている状況がいかに異常で、どのような危険を孕んでいるかを冷静にリポートしてくれる。凶悪犯を目の前にして、なぜその犯罪を犯したのか?本当に後悔しているのか?など切り込んだ質問をして犯罪者の心理に踏み込んでいく。彼が最後に刑務所を出ながらコメントで締めくくる時、その言葉の重みに🤔という顔になるはずだ。

この番組は治安に対する価値観をことごとく破壊する。身の毛がよだつような国もある。何が面白いんだと言われれば、いや面白くはないんだよと返しちゃうんだけど、価値観がぶっ壊される分観る価値はあるんだ。

@tkura
とあるフリーなwebフロントエンジニア