脳あるものに身体は必要?

最近AIの進化がすさまじい。

こうやって人間が文章を考えている間に、AIは何倍ものスピードで書いている。

ついこの間、AIに関する講義を受けた。

AIが進化していく中で、私たちはAIに対してどう捉えていけばいいか、そのヒントになるような講義だった。

これはその講義を受けて考えたことのメモになる。

西洋と東洋のAIの考え方

どうやら正反対に違うらしい。

日本人的な発想では、例えばドラえもんのように私たちの身近な仲間や家族として、生活に溶け込めるだろうと考える。

八百万神(ヤオロズのカミ)という発想も日本特有だし、神に近い存在に拒否感が比較的少ないのは日本的な考え方なのかも。

AIは自然に存在してもいい、というのが東洋的な考え方。

しかし西洋的な発想では、AIは理屈っぽく、あくまで人間の持っている能力を拡張するだけであり、どちらかといえば異物として捉えられることが多い。

洋画に出てくるAIがたいてい暴走するのは、そういうことなんだろう。

どちらがいいか悪いかという話ではなく、どちらのいいところも取り込むことが大事だよね、という話。

講義を聞きながら、OpenAIのサム・アルトマン氏が来日したときにも、「日本人とAIは相性がいい」的なことをテレビで言っていたのを思い出した。

人工知能と人工身体

脳と身体の関係には、いまだに謎が多いという。

そしてAIにも身体があった方がいいらしい。

ゲームの中に出てくる敵キャラには、多くの場合AIが搭載されて、形は違えど、プレイヤーを攻撃するために身体を持っている。

僕が大好きなシムシティという街づくりゲームにも、たくさんのAIが搭載されている。

街の中のNPCや交通システム、建物が勝手に建ったり放棄されたり、などなど。車や建物に入ったAIも、ある種の身体を持っている。

一方でGPTやMidJournyといった、ここ数年で急激に進化を遂げている生成AIには、身体が存在しない。

テキストを入力したら何かを返してくれるだけで、昔のテキストゲームと仕組みとしては変わりがない。

ドラえもんもよく考えたら身体を持っているわけで、もし人型(あるいはネコ型)で人間の脳や神経構造を持ったAIを作ることができたら、さらに性能が上がるかもしれない。

今のAI研究は身体と切り離して研究しているようで、あまりAIと身体の関係については研究が進んでいないらしい。

身体を持ったAIなら、ドラえもんみたいに表情や感情があると面白いよね。画面の上でも、リアルでも。

ゲームの進化のカギを握るAI

ゲームにも欠かせないのがAIだ。

しかし生成AIは、仕組みの根幹を担うニューラルネットがブラックボックスなところが多く、ゲーム開発では確率が計算できないので難しい。

だからゲームの中で使われるAIは、1つの強力なAIではなく、それほど賢くないAIをたくさん用意して補完しあうことで賢くしていく方向に向かっているらしい。

敵キャラだけでなく、ゲームの中のオブジェクトやドア、空間や場所自体にもAIが入ってくるイメージ。

「タイタン」は割と的を得ている?

最近「タイタン」というSF小説を読んだ。

AIがこのまま進化が進んでも、いつか頭打ちになる時が来るだろう。

その先を描いたのが「タイタン」だ。

これはタイタンという名前の汎用AIがすべての職業を奪い、人間の代わりに働いている、という世界。

身の回りのものはもちろん、社会システム全体にタイタンが内蔵されていて、何をするにもタイタンがサポートしてくれる。

「仕事」という言葉が死語になり、お金の概念も存在しないユートピアだ。

少しネタバレになるが、タイタンは巨大なコンピュータの母艦(のようなもの)が存在する。

既存のAIの構造では限界があったが、この母艦を人間の形や神経構造をそっくりそのまま再現し、同時に脳や身体の大きさを数千メートルまで巨大化させることで、人間をはるかに上回る知能を持てるようになったのだ。

なんなら人間のように鬱になることもある。

それがストーリーのカギになるのでこれ以上は言わないでおこう。

しかし、タイタンはまさに講義で示されたAIの未来に近いのではないだろうか。

身体を持ったAIで、人間拡張としての側面も持ちながら、自然に社会に溶け込んでいる存在。

進化の方向性として、現実でも同じような方向を向いているかと思うと、個人的にはとてもワクワクさせられた。

じゃあ結局、私たちはどうしたらいいの?

AIが一番苦手なことは、人間が無意識にやっていることらしい。

脳と身体の関係も未だにわかっていないことが多い。

無意識的なところ、潜在的なところが一番難しくて、一番重要なところだということだと思う。

末端の我々ができることを、一言でまとめるならば

「日本人が持っている考え方や感性で、もっと世の中を良くしていけたらいいよね」

という感じだろうか。

すごく興味深く楽しいお話だったとともに、もっとAIについて学んでみたいと思う次第だ。