榛(はしばみ)=ヘーゼルナッツの木
魔女の榛は「マンサク」"witch hazel"
魔女の杖の材料なんだそうです。欧米では。
日本でのマンサクという呼び名は、他に先がけて花が咲く(先ず咲く)から とか 「万年豊作」からとってマンサク だとか言われているそう。
世界の色んなところで、少し特別な思い入れをもって愛でられて来た木なのかなという印象を受けます。
紐やリボンのようにわしゃっとしたお花が咲きます。それが解けるように開くさまも、いかにも春らしい。はじまりの季節ですね。
少し前後しますが、今年のはじまりは辛い出来事の多いものでした。縁起のいい一粒万倍日だとか騒がれた元旦には大きな災害が起こり、それから程なくして、才ある漫画家のかたが志半ばで悲しい亡くなり方をしたりですとか。
SNSを眺めているとまるで指先からじわじわと蝕まれるような日が続いたことは、今思い返しても苦くて痛い。
まぁそれらについての所感は今は控えます。せっかく春の枕を置いたので。
さて、そんな苦くて痛い日々の最中、連れ合いと外にお昼ごはんを食べに行きました。ファミリー層で賑わう某食べ放題系しゃぶしゃぶ店です。
心ゆくまで食事を楽しんだあとのデザートコーナーで、10歳前後と思しきヤンチャそうなどこかの坊っちゃんに遭遇。ひとりでご機嫌にソフトを絞っています。上手です。
上からチョコを散らし、仕上げにブルーハワイのシロップをたらりと回しかけたのを目撃した時点で私はもうだいぶ心奪われておりましたが、最後に彼が大きな声で一言。
「甘党です!」
誰に宣言したの?
繰り返しますが、彼はひとりのびのびと食べ放題クッキングをおこなっていたのですよ。とてもかわいらしくて可笑しくて。
少し離れたところで肩を震わせ笑いを堪えていた私に、彼が気づいていなければいいなと思う。独創性豊かで魅力的な坊っちゃんでした。すくすく育ってくれたらなあと心から。
願わくは、こういう日だまりのような場面を拾って留めていられたらと最近思うのです。そうしたら苦い痛い気持ちも癒すことができるのかもしれない。自分のご機嫌は自分でとれるようになりたいからね。
寒さが緩み、生きものが蠢く季節。いつもより少し前向きになれる気がしています。
ガラスに光る眩しい昼の日差し。