夏めく青葉

しずかなともむ
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公開:2024/5/20

朝一番に外へ出るとお日さまがまぶしい。

先週か、先々週くらいからかな。

目の裏にギュッとしみて思わずまぶたをとじてしまうような、冬とは違う光の束。

夜ご近所を散歩する時に感じる空気の匂いも、がらりと変わりました。花の香りから草の青い香りへ。

ついこの間スプリングハズカム!みたいに喜んだのが遠い昔のことのようです。

まったく大人の一年というのは文字通り矢のように過ぎて行くものですよ。その矢が飛ぶ間、自分が何をしていたのかよくは思い出せないというのに。

さて。私がこの週末もまた代わり映えのしない時間を過ごしたのは特に記すべきことではないかもしれませんが、スプリングハズカム以降最も心震えた出来事があったといえばあった。

九里亜蓮という投手が居ます。私の贔屓の球団に。

プロ入り11年目。ずっと第一線で働いて来て、ここまで大きな故障のないタフネス右腕です。今年の開幕投手を務めました。

その亜蓮さんが、今季初勝利を飾りました。

うん。「初」勝利です。この春一番初めにマウンドに上がった投手がね。ここまで一度も勝てていなかったの。

野球を観ないかた向けに一応言っておくと、先発投手が勝ち星を得るには1点以上リードした状態でマウンドを降り、味方がそのリードを守り切って試合を終えなければなりません。更なる得点を追加したり、または相手に得点させないよう守ったりして。

わが軍それができなかったのですね... 亜蓮さんの日にことごとく。

一度順調に援護した日(得点できた日)もあったのですが、その日は亜蓮さん自身が崩れてしまったりという。なかなかうまく行かない部分もありました。勝負の綾です。

土曜日の試合後、勝利のお立ち台に上った亜蓮さんは「苦しかった」と声を詰まらせました。

私も泣いてしまうところだった。

8度目の正直、ですよ。

初めての開幕投手。満を持して迎えたその試合で好投しながらも敗戦を喫し、次の試合でも勝てず。そんな登板が7回続いたわけです。

想像だけで耐えられない。私なら。

色々考えたでしょう。タフガイといえども人間ですから、毎回よいパフォーマンスを演じられるわけではない。自信も揺らいだかもしれない。

欲しくて仕方のなかった足がかり。それがこの「最初の勝ち星」であったろうと思います。

いかにベテランであろうとも苦しくなかったはずがないのです。

だからこの1勝は本当にうれしかった。ただ気を揉んで見守っていただけの私なんかにも。

そんなわけで私どもの亜蓮さんにようやく、やっとの遅い春が訪れたタイミングで世間はもう夏を迎えようとしています。

でも朝晩はまだ妙に冷えますよね。体がおかしくなっちゃいそうな気候ですが皆々様ご自愛を。

こんなことをくだくだ言ううちに、気づけば毎日汗を拭っているのでしょうね。今年もきっと。

あの亜熱帯のような季節はたぶんもうすぐそこにある。

@tmmcoco
書き留めておかねば霧散してしまうあれこれ。日々のよしなしごと。 bsky.app/profile/tmmcoco.bsky.social