忘れもしない。この原作は、幼なじみが「ついに見つけたわ…駄目な大人と少年の残酷な描写がないおもしろい漫画を…」というメッセージと共に、LINEしてくれたことを。試し読み冒頭の「ヤクザをブラック企業って言うな」でゲラゲラ笑ってすぐ買った。
で、映画が公開してからも観に行かなきゃ…とは思ってたんだけど原稿やらなんやらがあったので、ようやく観てきた。以下ネタバレしかない感想。
いや、ほんと…………成田狂児、許さん!!!!!!!!!!!成田狂児は最低!!!!!!!!!!!!!
漫画読んだときは「最高だった〜!」でしかなくて、いや狂児が最低なところが最高なんだけど、なんかこう、生身の人間が、演じると…狂児の、""最低さ""がとてもリアリティを持って浮き彫りにされ、もう、とにかく「最低最低最低最低!!!!!狂児、サイテーーーー!!!!!!!!!」ってニコニコしながら叫びたかった、エンドロール。
幻だったら、どんなによかっただろう…成田狂児という存在が…聡実くんにとって………幻のほうが、どんなに………どんなに……………。
あえて、映画を観る前に原作は読み返さず、予告編もほぼ見ず、聡実くんの中学でのエピソードが厚くなってることだけなんとなくTLから情報を得ていたのだけど、まぁ結果としてよかった。
原作漫画は聡実くんのモノローグや心のツッコミ、変声期に悩んでることがはっきりと書かれていたけど、そのあたりを本人が明言せず周りだけが「あ〜ね…」みたいな…感じでそっと扱うところが聡実くんの繊細さを感じさせて、よかった。てか原作は聡実くんのリアクション、心のツッコミ含めてギャグだったので、映像作品としてそのあたりの演出が完全に変わっていた。
わたしが観た劇場では、鶴の傘を開いた瞬間にわりと周りが笑っていた。いや、傘!!!!!表紙絵をそんな回収するんかい!!!!
はぁ、もうどこから言ったらいいですか?まず、狂児が動いて喋ることにより、うわ、こいつわかってやってるわ…こいつ…こんな…こういうふうに言えば聡実くんが望むように動いてくれるやろな〜ってわかって……わかってやっとるやろ!!!このヤクザ!!!!!最低!!!!!だった、序盤から。
狂児の名付けやヤクザになった経緯の番外編を全部織り込んだのはちょっとびっくりした。というか!!!原作はひと夏の思い出だったけど、この映画は!!!!夏から秋にかけての話なんですよ!!!!!は?!?!そんな、半袖シャツから長袖シャツに上着を着るような時期まで?!?!?!長い!!!!影響を及ぼす時間が伸びてる!!!!!そして「聡い果実」って言い方!!!!!最低!!!!!!果実ぅ?!?!?!最低最低最低!!!!!!!
「家着いたらLINEして、心配やろ〜夜道歩かすんやから」→「よくできました😄」
セリフうろ覚えだけど!!!!!!最低最低最低!!!!!!!なんここ?!?!なんやったん?!?!?!?!
距離!!!!どんどん近づいてくる!!!!!!!!ヤクザたちのカラオケ採点することになった聡実くんが狂児の腕にくっついたところ、もう、声出るかと思った。観終わって帰りの電車で原作読み返したら原作でもくっついてた。くっついとったんかい!!!!!とにかく距離が近い。近づかれると肩をすくめていた聡実くんが、だんだんそうでもなくなってくる。やめろやめろやめろ!!!!!(やめるな!!!)
ごめん序盤に戻るんだけど、歌うのに相手を想う愛が大事❤️的な話になったとき、わたしはこの話のオチを知ってるわけで、おい、、、、伏線すな、、、、、って思った。
聡実くんが学校でいちばん仲がいい(と思われる)映画を観る部の友達の存在もよかった。後輩の和田くんが乗り込んできてVHSのことを「おばあちゃんの家で見たことあるし!」って言ってたのはカルチャーショックを受けた。そうか…そうだよな、いまの中学生にとってのVHSって、そうだよね……。
いや、そこから…まさか…ビデオデッキが必要になって、あんな…アレが……あの……屋上のシーンなんだったの……???またなんだったの?って言ってる。胸が苦しかった。とても。きれいじゃなくてもいいんだとか、さらっと言ってしまうところが。思春期ゆえの潔癖さを、、、わかりながら枷を外そうとしたところが、、、、
いや、待ってくれもう少し前のシーンだけど紅の英語を訳すのとか、そんな、紅という曲に意味を…持たす…?!カラオケボックスで頭つき合わせて作業してるシーンとかもう、ほんと…うわ!!!心を許してる!!!!卑怯!!!最低!!!!だった。適当なこと言って聡実くんの心を弄んでた。最低!!!!狂児最低!!!!!!!
なんかもう何もかも、こちらはラストシーンを知ってるわけで、愛を込めて歌うとか、紅の歌詞の意味とかが、もう全部ラストシーンへの伏線でしかなくて、や、、、やめろやめろやめろ!!!意味が!!!!あのシーンにたくさんの意味が生まれてしまう!!!!!助けて!!!!助けてーーーー!!!!!!!ってなるわけ。
そんで、げんきおまもりのとことか、なんかもう狂児の気持ちもわかってしまうのよ。この前はあんなに、2人で無邪気にじゃれあったりしたけど、聡実くんは中学生なんよなぁ…って当たり前のことを改めて気づくと言うか。本当だったら自分みたいなのと関わったりせず、ああして身の回りの男の子女の子と接して、惚れた腫れたなんて日々を送るのが普通なんだよなぁって。聡実くんも、中3とかいちばん、そういう色恋沙汰についてからかわれたくない年頃であって…あんなふうにニヤニヤ顔で見られたら…感情が爆発しちゃっても仕方ないな〜って構成になってて、よかった。狂児のLINEも「ごめんな」から送られてきたのがよかった。
いや、、それでラストシーンなんですけど……狂児が聞いてるカットが入るの、卑怯すぎ!!!!!!!!!もうダメ、あの顔忘れられん。もう、ここまでの全部がここに結晶してて、もちろんそれをわかって観てたんだけど……わたしは原作でもこのシーンで号泣してんですわ。もう、涙止まらん。もうね、愛なんです。親愛でも友愛でも恋愛でもなんでもいいけど、もしくは全部でいいけど、この聡実くんの歌声には、愛しかない。それが、肉声で記録されたこの映画は…………もう、成田狂児、許さん!!!!!!!!!!!!!!!にしかならない。
たった15年しか生きてない少年の、精一杯で満タンで全身全霊の愛を、こんなふうに捧げさせるような存在であった成田狂児は、最低!!!!!!!!!!!!許さん!!!!!!!!!!!!
しかも原作より姿を見せるのが早い!!!!!!そりゃすぐ出てくるわ!!!!!!!!こんな愛を捧げられたら!!!!!!!!こんなん、こんなん!!!!!もう、最低…………最低だよ成田狂児、聡実くんの少年時代に、一生消えない傷を残した。本当に本当に、………………最高の映画です!!!!!!!!!!!!!!!!
ほんと、幻だったらどんなによかっただろう………エンドロールに入るタイミングが最高に上手くて、正直エンドロール後のやつがなくても大満足だったんだけど、あるので…狂児が、幻じゃなかったことが……この映画の最低で最高なところで……しかも、でかいホテル(めちゃくちゃCGだった)が建ってることで、3〜4年後であることを…示唆させるのが演出としてなるほど〜って感心して終わった。
いや、本当に成田狂児、最低最悪。漫画だと「最高!好き!」しかなかったけど、実写になることで狂児の最低さが…いろんなシーンの危うさが…リアルになり……こんなに「最低!!!」でいっぱいになったのがわりと自分でも驚いた。めちゃくちゃ褒め言葉なんですけど、本当に成田狂児は最低じゃないですか。搾取…!ってなった。
いや、まだギリギリ、歌い終わった聡実くんをなるべく茶化して本気でハグしたりしなかったところとか、3年後まで会いに来なかったところとか、本当にギリギリの最後の一線は引いてだと思うんだけど(ほぼアウトだけど)やっぱ、また連絡してしまったところが…アウト。綾野剛の、仕草や声色がめちゃくちゃ良くて…良くて?悪くて?うわ、この大人…っていう…おちゃらてけるように見えて、ズルい思惑が透ける演技が、良かったと思いますとても。
聡実くんは本当に子犬ちゃんだったね。かわいかった。中学3年生の聡実くん、リアルすぎて…フォロワーがこの時期しかない瞬間を収めた執念が気持ち悪いなって褒めてたんだけど、本当にそのとおりだった…。もう一生撮れん、この映画。その点でもよかったし、最低で最高だった。
なんか…岡聡実の青春、思春期、成長において、いかに成田狂児が取り返しのつかないことをしたかっていうことが刻まれた映画だった……。ほんと、序盤……愛ってなんだろ?って考えながら…自分の母親が鮭の皮を父親にあげるっていう、おそらく何年も何気なく見てきた行為に愛のかけらを感じたりしていた聡実くんが…最後に全身全霊の愛を捧げてしまったところが…取り返しがつかなさすぎる。だから成田狂児は最低なんだよ。ほんと最低。なんてことをしてくれたんだ。
そういう映画でした。はぁ〜〜〜〜もう………ため息が止まらん。はぁ………。