2018年の6月2日に映画を観てふせったーに書いたやつ、せっかく映画がテレビ放送されたのでこっちに保存しておく。ユーフォ3期楽しみだね。結局見直せてないので2期を見直したい。
こっから当時の感想
アニメ2期で希美先輩へ感じていた違和感と、束縛と解放について。あるいは小湊兄弟に対して感じていたことと似ているのかも。希美が好きな人には向かない内容。
ユーフォ1期を一気見したとき(韻踏んじゃった)、なんてすごいアニメを見てしまったんだ!!って感動して3回くらい全話見て興奮覚めやらぬまま感想を書いて、2期を毎週追っかけることになったときも全話見終わったら感想書こう!とおもってたけど、書けなかった。なぜかというと「希美先輩」のことが全くわからなくて、これはまた最初から見直してから書こう…とおもっていたから。
この「傘木希美」という明るくて人当たりが良くて常に周りには人がいる人気者、のような人物のことがわたしはテレビシリーズを見終わったあとも理解することができず、「響け!ユーフォニアム」という素晴らしい作品でのわずかな引っかかりと感じながら過ごしていました。原作読めばよかったのかもしれないけど。まぁそこはおいといて。
違和感というより嫌悪感のほうが正しいかもしれない。2期序盤の吹奏楽部復帰騒動で、久美子からなぜ部活をやめるときにみぞれに声をかけなかったのか聞かれた希美は「オーボエには先輩もいなかったし」みたいなことをいっていたわりには、みぞれ自身になぜ自分には声をかけてくれず報告もしてくれなかったのか問われた際には「みぞれは一生懸命まじめに練習してたのに、やめようなんていえないよ」となんともあっけらかんと答えていて、それにものすごく違和感を感じたんですね。
いやいやいや…いってること違うくない?てかみぞれ先輩もそれでいいの?それで許しちゃうの?なんなの??えっほんとにこれで和解なの??という違和感は消えず、のちのちのシーンでも2人が仲睦まじくしている様子が描かれていたりして、余計に「希美先輩が全然わからん…」となったのでした。
前置きが長いんですけど、この「リズと青い鳥」を見て、ようやく希美がみぞれに抱いていた感情が嫉妬だったと理解することができました。いろいろ調べてみたら原作にはそういう、嫉妬描写があったそうで。 ようやく、希美ってそういうキャラだったのか。と腑に落とすことができた感じ。
「響け!ユーフォニアム」といういろんなキャラがさまざまな感情を剥き出しにしてぶつけてくる作品において、希美は唯一感情をひた隠しにするためつかみどころがなく、わたしはこのキャラを理解できなかった。そしてそのひた隠しにされた感情の正体は「嫉妬」だったと。 と、腑に落ちたところで改めて、わたしは希美のこと、嫌いだな!好きになれない!こういう女ほど「わたしってサバサバ系だから」とかいっちゃうやつ。いや知らんけど。
表面上はいい子を装い、内面では激しく嫉妬や独占欲が渦巻く。そしてそれを周りに悟らせず「希美はいい子」というパブリックイメージを崩さないようにしてる。 悪口ばっかり書いてるような感じですけど、少なからず身に覚えがあるのでそういう同族嫌悪として「希美のことが全くわからん…」から「希美…わかるぞ」という気持ちになったのは確かです。
テレビシリーズで各キャラがあまりにも感情を剥き出しにするシーンが多かったから、口に出したことが全てなのだと勝手に解釈していたので、こんなにも内側に溜めるキャラだったのかー!という気づきでもあります。
テレビシリーズの話してんだか映画の話してんだかわからんくなってきたぞ。 そしてそれを、目線だとか肘をおさえる仕草だとか、一歩下がる足元だとかで見事に表現していたこの映画。どのシーンも意味がありすぎる。 わたしはわりと「このシーンは○○の暗示で〜」みたいな考察があんまり好きじゃなくて、そういうのって物語の結末に水を差すようなものも多くて、純粋に物語を楽しめなくなるからやめてくれっておもってるんですけど、この「リズと青い鳥」は全力で「察しろ」といわれているような映画だと感じました。映像と音と演出で、これ以上ないくらいヒントを与えながらも核心を言葉としてはっきり表現してくれない。
希美は軽い気持ちでみぞれを吹奏楽の世界に引き込んだけれど、みぞれは希美との繋がりであるオーボエをただひたすら愚直に続けたことでどんどん頭角を現すことになり、終いには希美を凌駕してしまった。ということだけ、みぞれの圧巻の演奏によって明確化されていたような。
こういうの、たぶん同級生の女の子同士でも普通に存在する「あるある」な話かもしれないんですけど、わたしが好むシチュエーションとして兄弟とかでよくあるやつだ…って気づくとめっちゃすんなり理解できたんですよね。先に生まれた兄よりも、後から兄を見て育った弟のほうが天才肌だった、的なやつ。めっちゃ好きですねそういうやつ。 みぞれと希美って、そういう関係だったのか。
まぁそういうわけでなんでわたしが小湊兄弟に言及したかという理由のひとつはこれなんですけど、もうひとつはタイトルである「リズと青い鳥」という劇中劇の、束縛と解放について。 リズと少女(青い鳥)にそれぞれみぞれと希美が感情移入しながらお話は進み、途中まではリズ=みぞれ、青い鳥=希美と表現されています。 ひとりぼっちのリズのもとに、天真爛漫な少女(青い鳥)がやってきて、2人は仲睦まじく日々を過ごす。けれどもリズはある日少女が青い鳥であることに気づき、このまま閉じ込めるのではなく、翼を持っている少女には大空に羽ばたいていろんな景色を見てほしいと願い青い鳥を解放する。最後に「愛してるわ」と告げて。そして最初は別れを拒んだ青い鳥も、それを受け入れ飛び立っていく。
みぞれは愛しているのに青い鳥と別れることを選ぶリズのことがわからなくて、希美はせっかく仲のよいふたりが別れてしまうことがハッピーエンドとはおもえず、青い鳥だってときどきまたリズに会いに行けばいいのに、とおもっている。 みぞれにとって希美は自分の存在理由のすべてで、世界そのもの。希美が決めたことが自分の決めたこと。希美がしたいことが自分のしたいこと。そんな状態からさまざまな出来事を経て、実は自分が青い鳥で、リズが希美なのでは?という気づきに至り、自分が飛び立ち羽ばたくことを希美が望んでいて、それが希美の愛であり幸せであるならと自分の殻を破るきっかけをつかみます。希美も希美で、本当は自分のほうがみぞれを籠の中に閉じ込めていたのでは?という気づきを得ます。
なんだかここで、わたしは春市に対して「もう俺を追うな」と告げた亮さんのことを思い出してしまったんですよね。act.2が始まって春市が前髪を切ったころあたりにたぶんそんな話をした。 亮さんは春市が産まれてからずっと春市の前を進む「兄」として春市の尊敬、羨望、憧憬、あるいは崇拝をすべて受け入れながら生きてきて、自分の真似をしながらものすごいスピードで後ろを追いかけてくる弟に恐怖も抱きつつ、決して拒絶はしなかった。弟の自分より優れているであろう才能に焦燥を感じながらも「真似するな」といわなかった亮さんの強さを、わたしは恐ろしいとも感じています。
だからこそ「もう俺を追うな」という宣言は、この映画でいうリズがおうちの扉を開き青い鳥に飛び立つよう促すシーンに重なるところがあったのです。 このまま春市が亮さんのあとを追いかければ、おそらくゴールはもうすぐそこか、もしくはもうとっくに越えていたのかもしれない。亮さんにとってはそのほうがいいです。兄である自分が前で、弟は後ろにいます。春市は兄に追いつきたいのであって、追い越して打ち負かしたいとは一切考えてません。ただ追いつき、認めてもらいたい。それだけ。 でもそれでは、春市の才能に蓋をすることになる。だからこそ亮さんも扉を開けた。小湊亮介にとらわれず、小湊春市として自分だけの世界に羽ばたいてくれという亮さんなりの願いと愛の言葉であったんだろうな…ということをしみじみ考えてしまいました。
長いよ〜〜〜〜映画の感想なのかどうかもあやしくなってきたよ〜〜〜〜!! なんかほんとあまりにも情報量が多くて!!!いろいろ考えさせられて!!!しまう!!!
もうちょっとシーンそれぞれを拾いたいんだがりりかちゃん、めっちゃかわいくてよかった…癒し枠。みぞれがこころを開いていく過程がよい。 そして夏紀先輩のイケメンっぷりやばくなかった?!やばい!!惚れる!!!結婚して!!優子先輩と!!! 今回の映画を見たあと他の人の感想をいくつか見て初めて夏紀&優子が「なかよし川」と呼ばれていることを知った。なかよし川!!!かわいいぞ!!! この2人も、優子はみぞれ側、夏紀は希美側に立っているのでちょうどいいバランスだったかなと思います。特に優子が希美に怒るシーンはそうだそうだ!!いいぞ優子もっと言え!!ってなりましたね。
あとは久美子と麗奈が遊びで第3楽章を吹いたのを聞いて、たぶん夏紀が「なんか気持ちのいい見送り方」的なことをいっていたように記憶してるんですが(うろ覚え。よし!飛び立て!みたいな感じのこと)そこにも、久美子と麗奈の関係性がよく表れてたなぁとおもいました。この2人は魂の双子で、たとえ別離のときがきてもわりとあっさりと「じゃあね」と手を振りあえる。ふたりにしかわからないところでしっかりと繋がっている自覚がお互いにあるから。
そして最後の、大好きのハグのシーン。 その直前に希美が「今までわたしに合わせて手加減してたんだね」というところ…希美お前そういうとこが好きになれんのじゃ!!とここは素直にイラっとしてしまいました。 希美は「わたしはみぞれが思っているような人間じゃない」「軽蔑するよ」「みぞれみたいにすごくないし」みたいなことをいっていたとおもうんですけど、ここも違うだろ!!べつにみぞれは希美がすごいから好きなわけじゃないんだよ!!とおもいながら見ていて、みぞれがたくさん希美の好きなところを伝えて、それに対して希美は「みぞれのオーボエが好き」とだけ返す。 そこでようやく、ああ希美って言葉にしないだけで実は内面にめちゃくちゃ黒い感情を燻らせていたのか。と強く感じました。
そしてふたりが足音をそろえて学校の外に出て行って、お互いのふっきれた表情からまぁなんとか感情に折り合いはついたのかな?というラスト。 なんだけど見終わった帰りの電車で監督やキャストのインタビューを読んで「みぞれはたくさん希美の好きなところを上げるけど、希美のフルートが好きとはいわない。希美は『みぞれのオーボエが好き』と伝えることでみぞれにも『希美のフルートが好き』といってほしかった」ってやつを見てウワーーーーーッ!!!!!と頭を抱えてしまいました。そうしてわたしにとってよくわからない存在であった希美が、ようやくよくわかる存在となったわけです。希美の気持ちはよくわかる。よくわかるからこそわたしは希美が好きではない。という結論。
みぞれにとって希美はすごくなくても、フルートを吹かなくても、希美が希美であるだけで「好き」なのだけれども、希美にとっては「特別な存在」になってしまったみぞれに自分のフルートこそ好きだと、肯定してもらいたいことだったのか…っていう。
結局、みぞれと希美の共通点って「自身のことが好きじゃない」ってとこなのかもしれないです。 みぞれは自分の引っ込み思案で暗い性格を肯定的に捉えてないし、希美は前述のシーンで自分を卑下したのがわりと唯一の本心だっただろうし。 希美がみぞれに対して抱いている不信感というか、「みぞれってなに考えてるかわからないし」といっていたのは、自分が腹のなかに黒い感情を渦巻かせている証だと思います。
でも今回の事態を引き起こしたのは全部希美なんですよね。みぞれの才能を開花させるきっかけを作ったのも希美本人。 テレビシリーズの復帰騒動の最中に希美が「わたしがバカみたいじゃん…」とこぼすシーンと、麗奈が「逃げた方が悪い。そんなのねじ伏せればよかったのに」といっていたシーンが印象深くて、結論的に希美は周りを巻き込んでなにかを変えていくだけの「特別さ」を持ち合わせてなかったが故のいろんな出来事なのであって…。
まぁこれらを正面から受け止めるのはかなりきついことだしつらいよなとも感じます。うん、希美のこと好きじゃないけどその事実を受け入れることはつらいよな。わかるよ。 っていう感じであまりの情報量にテレビシリーズの話も加えてあまりまとまらなかった。感想かどうかも謎すぎる。