恋愛小説の短編集を3つ読んだ。初めて読む作家だ。名前も聞いたことがなかったが、お話の「終わらせ方」が上手いと聞き、参考にと思って手に取った。
感想としては、上手かった。短編集だけあって、終わらせ方の余韻がとても感じられる。ものによっては、えー?!ここで終わるの?!となるものもいくつかあった。まぁ、これが短編小説の醍醐味だろう。
新鮮だった。新しく読む作家の文章、ということもだが、男女の恋愛小説というものが。女性同士もあったので厳密には全て男女ではなかったけれど、9割が女目線の一人称小説だった。中には中学生もあった。
たまたま手に取った最初の1冊目が、性愛がテーマにされていたのもあり、開始早々濡れ場が始まったのはかなり面食らった。安くなっていたから買っただけだったし、その作家の短編集ならなんでもよかったので知らずに読み始めたのだ。
こうして画一的に語るのはよくないのはわかっているが、男女って、そうだよね…と少し辟易した。出会う。惹かれ合う。何度か交流を深め、最終的にセックスに至る。というかセックスに至るために交流を深める?思い出すだけでうんざりする。
ここのところ、わたしは女の子としか遊ばなくなった。女同士で仲良くするほうがずっと楽しい。男と遊んで楽しい場面もあったが、「そろそろどう?」といった雰囲気を醸し出されるのが本当に苦痛だ。相手が、自分を性愛(性欲)の対象として見ていると気づくともう無理だ。すぐ距離を取りたくなる。
だけど、女の子相手だとそうは感じない。相手が自分を性愛対象として見ていて、家で2人でいるときとかに「そういう」雰囲気になるのは全然嫌じゃない。
好きになった相手が好きだから、性別は気にしたことはない。だけど性愛が絡むときだけ、自分は男を性愛対象として見られないのかもしれないなというのをよく思う。BLは大好きだけど、やっぱりそれは自分と関係ないところで自分とは違う性別同士でよろしくやってるからかもしれない。
短編集の話に戻る。中には叔父と姪(大学生)、高校生や中学生と妻子持ち男のお話もあった。大人同士の不倫も多々。性欲に振り回されてるのって、滑稽だな。というのをこの小説に限らずよく思う。当事者は真面目で真剣なのはわかっているからこそ、消費する立場になるとよく思う。
だけどこれが、男同士の話だったらめちゃくちゃ興奮して「サイコ〜!!」みたいな感想を言っていただろうなとも思う。作者はBLに一切興味がないようなので、ありえないのだが。
短編小説だから仕方ないんだよと言われればそれも納得するが、いろんな段階を踏み、さまざまなことを解決してからいざご褒美タイムとばかりに濡れ場へ突入するBL小説って、お行儀がいいな…とすら感じた。まぁBL小説も決まった作者のものしか読んでないから、他のものだとそうでもないのかもしれないが。
おもしろかったし参考になったし、3冊目に読んだものはほとんどそういうシーンはなくどちらかというと女同士の友情や家族との関係がフォーカスされていたものが多かったので、読後感はよかった。
だけど結局自分も、性別という記号に振り回されている滑稽な人間のひとりなんだなということを強く感じた。