GWあたりから6月の終わりまでの間に読んだ本。その1。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾
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最初に出会ったのは舞台版。好きな劇団が舞台化したそうだけど、その頃わたしはまだ演劇には出会っておらず。その劇団の脚本・演出家で外部公演として再舞台化した際に観たのがはじめて。好きな劇団の劇団員さんも何人か出演していた。この小説も、その時の物販で購入したものと思われる。
その時の帯付き。
調べてみたらそれは2016年だったそう。8年前。そんなに長い間積ん読していたのかよ、というのはさておき。
わたしは記憶力が悪いので、残念ながら一度観た作品のことは忘れない!という感じではなく。ストーリーはすっかり抜け落ちていた。若者3人とナミヤのじいさんがメインキャスト、それだけの記憶。おかげで新鮮な気持ちで読めたというのはある。第一章を読み、そういえばこんな感じだったかも、と思い。でも手紙のやり取りをする相手が何人かいたはずだが、どんな背景を持つ人か、どんなやり取りを繰り広げたのかは全く覚えておらず。
第二章。そうそう、魚屋ミュージシャンっていたなぁ。お店を継ぐ継がないの父子の話だっけ?と思ったけれど、児童養護施設のシーンを覚えていない。読み進めながら、彼が出会う女の子の名前、「セリちゃん」という文字を見た瞬間記憶の一部がよみがえってきた。この先の展開がどのようなものであるかを。そして、続きを読む前に涙が止まらなくなった。
その後も読み進めながらかつて観た物語を思い出し、舞台版では省略されたエピソードも読み。分厚い文庫本、沢山の人生、そのひとつひとつの濃度の高さ、読むのに時間がかかったけれど、通勤中や自宅にいる時の空いている時間に黙々と読んだ。ベストセラーというだけある、有名な作家の作品というだけある、人を惹き付けてやまない物語。みんなどこか淋しくて孤独、それがまた心を惹かれた理由かもしれない。そして、ばらばらの人生がうまく絶妙に絡んでゆく構成に唸る。
面白い本は面白いな、と、当たり前のことを思いつつ、ここから2ヶ月ほどまた本を読み始める。積ん読の本はまだまだたくさんある…。