GWあたりから6月の終わりまでの間に読んだ本。その2。

『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光
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これは好きなひとがおすすめしていたから読んでみた。文庫本にかけられた帯や店頭のPOPで煽りすぎでは?というくらいに煽っている作品は、普段はあまり選ばない。映画で言う「全米が泣いた」並みに冷めてしまうのだ。これは電子書籍化絶対不可みたいな事が書いてあった。店頭のPOPではさらに何か熱い説明文が書いてあった。(写真を撮るときは帯を外すようにしている。表紙のデザイン全体が見たいから。)
そういうことが書いてあると、どの部分がそうなのか考えながら読んでしまうという余計な思考が働いてしまうので、純粋に物語を楽しめない…というのがありつつ。紙媒体でないとだめな理由…物語の構造か?文章の構造か?推理する脳と、作中の登場人物の人生に触れる脳と、ふたつのCPU(?)が必要となるのだ。
ミステリーという要素により好奇心を掻き立てられ、ヒューマンドラマという要素により心に沁みてゆく。最後は気持ちよく終わる清々しい作品だった。
そして、電子書籍化が不可能な理由を知り、この作品を執筆した作者すごいな!?となった。なんかたまに文章が…という時が確かにあったけれど、そのせいかと理解。ものすごい大変だったんじゃないかなぁ、などとも。鉤括弧の中に入る言葉が分かった時の胸熱感ったら。
帯やPOPで煽らないとなかなか手に取ってもらえないというのはあるのかもしれないけれど、それにしてもやはり情報を与えすぎでは?とは思う。いやしかし、この場合はなぜ電子書籍化が不可能なのか考えさせながら読ませたかったのか?確かにストーリーと相俟って、その理由が分かった時の感動は大きい。どうなんだろう。どっちなんだろう。