いまいる会社はまあそれなりに・・・いや、数千人いるので大企業なのだけど。
だからなのか、名刺の(追加)発注は完全にシステム化していて、専用のWebサイトからポチポチするだけで数日後に勝手に自分の名刺が届く。
僕は20人チームのマネージャーをしていて。だから、新しい社員を採用し、受け入れる側にある。
あるとき、複数のメンバーが「名刺ってすぐ使うものじゃないし、自分で簡単に発注できるから、入社後に本人に自分で発注してもらえばよくない?」という話になった。
たぶんコロナ禍だったのもあると思う。名刺、ほとんど使わなくなったので。そして、実際にそうしているチームもたくさんあった。というか、他のチームはほとんどそうしていた。
ほとんど使う機会のないものを、名前を間違えるリスクまでとって100枚も200枚も発注する手間は、たしかに無駄だと思う。そして、入社してくるその人は、どうせ数日は暇だし。
でも、僕はそれを止めました。
「いや、最初の名刺はこちらで用意してあけて」
と。
名刺って、
「あなたは、この肩書きで、社名を背負って名乗って良いですよ」
っていう権利(の道具)を渡されること、なんですよね。
意外と、社会人になって他にそれができる(権利の行使ができる)ものってなくて。そういうのはやっぱりちゃんと会社から渡すべきだと思うんです。いくら、ぜんぜん使わない人であっても。入社して一番最初の「ああ、私この会社の一員になれたんだ」という意識を持ってもらえる機会なので、みすみすそれを逃す手は無いよね、と。
妥協もあったかもしれないし、もしかしたら年収に納得してないこともあるかも、しれない。でも、転職活動をがんばって、ウチに来ると決めてくれて。きっと、初出社日が近づくほどに、よしがんばるぞ、とか、やっていけるかな、どんな仲間がいるかなという不安とか、この会社の一員になれたんだ、と思ってくれたりとか。たくさんの気持ちを膨らませて、来てくれると思うんです。
たとえばそれは、ヒーロースーツと同じだと思うんです。
「今日から、一緒に戦っていこうぜ」
って。
だから、最初の名刺だけは、入社する前までにこちらで用意したいんですよね。