日々を記すのが日記なら、月々を記すのは月記と呼んでいいと思うんですがどうでしょう。ちょうど2月にも入ったことなので、1月の出来事を振り返る回にしようと思います。
サンシャインシティ 世界のらん展
最近アガベや塊根系の男気のある植物が流行ってることもあり、植物系のイベントを目にする機会は増えてきているのではないでしょうか。男気系から入ってる人には少しなじみがないかもですが、ランの市場規模の大きさには驚かされます。
東京では定期的にサンシャインシティで全国および一部の国の生産業者の即売会が行われていて、僕はたまに遊びに行きます。花が咲く植物はそれだけで昔から人々に愛でられてきたので驚くような種数が出回っており、その華やかさはアガベや塊根とは違った古き良き魅力があります。
今年の頭のらん展は結構しっかりお金を使いました。今僕が集めているのは主に多湿系の植物で、東南アジアの渓流に生えているサトイモの類と、南米の雲霧林で木などに着生している小型のランなのですが、このあたりのマイナーなものは即売会に行かないとよいものに出会えないので、使うときには恐れずお金を使って集めるのが吉です。らん展は良き出会いに恵まれました。
後者の南米のランの中でも、lepanthes属を今年頑張ろうと思っていて、その情報収集も参加の目的でした。この手のランは最低でも湿度80%程度は年中必要だし、昼夜で5度程度は温度差がある環境が必要、なおかつ夏場の平均気温は23度程度が理想という非常に面倒な植物です。植物というよりは魚とかの水槽を管理する感覚に近いと思う。だからこそ、しっかり育てている人の、生の情報を以て取り組むのが良いというわけですね。まさにこの手のランを専門で出されている業者さんがいたので、いろいろ話を聞かせてもらい、非常に親切に教えてもらえたので良きスタートを切れそうです。
どうしてもヒトとしゃべるのが億劫で一人で趣味をやりがちなので、今年は外に交流をしに行こう、という目的もあって、それも達成できたので良しです。
ちなみに2月は東京ドームシティでもっと大きならん展があります。こちらも出かける予定。エクアドルの業者からlepanthes買うぞ~。
尾守つみきと奇日常。
今月読んだ漫画でよかったものです。たまーに本屋で見かけてはかわいい絵だなーと思いつつ手を出していなかったのですが、僕は3度手に取って戻した漫画は4度目で買う、と決めているのでそれに従って買いました。
サンデー系列で、流れで言うと「古見さんは、コミュ症です。」の系譜を色濃く感じる作風だなーと思います。最近の学園もの・青春ものは少年誌向けのものほど多様性への配慮を強く出すものが流行ってるような感じしますね。「ルリドラゴン」とか。今作も、人間じゃない色々な種族の人たち(作中では幻人と呼ぶ)と人間が入り混じって生活する空間で、幻人としての考え方と人間の考え方の歩み寄りを考える、みたいな漫画です。
とっても良いなと思ったのは、キャラクターの造形(どちらかというと中身)への愛情のかけ方で、1話でウェアウルフである尾守つみきさんは、足のサイズが大きくて靴が入らないから下駄箱の扉をゆがめたり、爪が鋭いから靴下が破れたりと、幻人ならではのふるまいを見せてくるんですが、その見せ方が生活感があって、本当にこういう性質の人たちが居たらどんな悩みを持つんだろう?と考えて描いてる感じがするんですよね。
つみきさんは、ウェアウルフのふさふさのしっぽを留めておくためのバンドを自作して、しっぽが跳ねないようにしているんですが、これもしっぽそのままで椅子に座ったりするの大変そうとか、スカートどうするんだろうとか、感情が出る部位は動かないようにしたいよね、とかいろいろ描き手の親心が見えてきてとても微笑ましい。
雑記
これはただ読み流すレベルでいいんですが、最近多様性を示すために異種族と交わるみたいなの多いなーと思っていて、なんかわかりやすくしすぎでは?と思ったりもします。多様性を理解するためにまず見た目が違うというのはとてもとっつきやすいのだが、多様性の根本は内面だと思うので、それを外面で記号化してしまうのは果たして、、と考えてしまいますね。まぁでもそれこそ少年誌だと思うので、少年少女に向けるべきものとしてとても良い形式だとも思います。
shimadamasafumi 個展 「Archives」
まだ会期なのでぜひ足を運んでみてください。在廊日に話を聞きながら作品眺めるのがおすすめです。どういう作品なのか、の説明は野暮に感じるので、個展の情報などを頼りに向かってみてほしいですね。
シマダさんは2年ほど前に僕のライブ企画で写真を撮ってもらって以来の仲で、それ以降会う機会には恵まれていなかったのですが、次の個展にはいきたいなーと思ってたのでちゃんと行けてよかった。
彼は思想家としての側面が強い作家だなと僕は思っています。作家と便宜上言いますが、彼の作品はそれが写真という媒体でなくても、「写真」という手段として制作しているものだと思うので、あえて写真家と呼ぶのが適しているのかも。
シマダさんとは、友人であるohtarukaくんの紹介で会いました。もともとルカくんとはつながりがあって、彼が良い写真を撮ることを知っていたのでイベントの撮影を依頼したら、それならもっと適任が、という形でシマダさんを紹介してくれた、という経緯。イベント前に、新宿のエジンバラで打ち合わせをしたのだけど、撮影の話もほどほどに、シマダさんの持ってきた作品集を眺めながら、ルカ君も含め3人でとにかくたくさん思想・思索の話をしたことがとても印象深いです。
カメラを持ち、写真を撮影する写真家でありながら、常に「写真」とは何か?を考え続け、その思索の結果を「写真」としてアウトプットしている、そのストイックなスタンスをとても尊敬しています。また話したいなー。
機機動戦士Gundam GQuuuuuuX
すでに2回見に行ってしまった。ここから先は存分にネタバレ込みの感想を書くので、これから見るつもりの人は見てから読んでください。ここから下にはもうガンダムの話しかしないので、遠慮なく切り上げてください。
まず、この作品は語るべき情報が多すぎるんですが、一番大きいところとしてはやはりスタジオカラーが作っている、ということかなと。そして、キャラクターデザインはポケモンのジムリーダーデザイン等で知られる竹さん。既に見ない理由がない布陣ですね。
前者に関しては庵野がガンダムまでやるのか!とかなりネットがにぎわってましたが、実際のところ監督は鶴巻和哉なので、それは少し事実とは違う。じゃあ庵野はかかわってないのか?と思いきや、思いきやですよ。
聞き覚えのあるSEとともに突然劇画調のシャアがスクリーンに表れて困惑、あれよあれよというまにジオンが勝った世界線の一年戦争が終わり、シャアはセブンスウェルよろしくでかいサイコミュの爆発(ゼクノヴァ)に巻き込まれてコンペイトウを削り取って消失、というオタクもびっくりの超展開。
ふたを開けてみれば前半パートは庵野秀明脚本ということで、まさかこんな濃厚な同人誌を見せつけられることになるとはねぇ。徹底して当時の安彦良和作画に寄せてSEやBGMまで当時のものを使用するという本気度に吞まれて、やたらシャアが説明口調でしゃべるな、とか細かいところはどうでもよくなっちゃいましたよね。まずこの前半で85%満足。
そもそもとして、今回のガンダムは宇宙世紀ものだというのがなかなか驚きです。だって、ガンダムのキャラデザが宇宙世紀じゃなさすぎる。有機的すぎるフォルムはガンダム感を極端に薄れさせていて、不気味さすら感じさせる仕上がりですよね。宇宙世紀ものっていう、ある種ガンダムにおける聖域を別のアニメ会社がここまで自由に解釈していいんだな、というのは素直に驚いたところです。
前半パートはあくまでも後半のジークアクス本編に対するスパイスの役割だと思うんですが、今思い返すと、ララァがいなさそうなこと、ララァがいなさそうなのに、シャアは「ラ、ラァ……」と聞こえる虹色のきらめきの中で「刻が見える」と語ったこと、シャアとともに消えた「シャロンのばら」、そもそもシャアの声優が池田秀一じゃないこと。いろいろ面白そうな考察がされてますが、正史としての宇宙世紀に対する並行世界がジークアクス世界で、ジークアクスシャアはゼクノヴァで正史側とつながったのではないか?とかいろいろ考えちゃいますね。(シャロンのばらはサザビーのコックピットじゃないか、という説は素直におもしれー!と思いました。そういえばνガンダムとサザビーのコックピットって逆シャアで行方不明になったっけ。)
僕個人の趣味だと、虚淵玄脚本の作品が好きなので、シャアはサイコミュの暴走でガンダムと一体化してしまい、今は乗り手であるシュウジにガンダムとして語りかけている、という自説を推したいところです。なんかエヴァっぽくもあるし。
後半は竹先生の可愛すぎるキャラデザがぐいぐい動く現代アニメの最高峰とも呼べる出来で、もう満足度150点ですよね。絵がいいのはもちろんなんですが、全体を通してトレーラーかと思うぐらい強く音楽がフィーチャーされてて、アニメというよりもプロモーションムービーみたいな味付けで見られるんですよ。これがやや鈍重さもある前半の劇画とのバランスの妙で、後半の方が情報量は多いのに軽やかに見られる、すごいですねー。
これ本当に思うんですけど、竹先生のキャラクターデザインはポケモンくらいの情報量が許容限界だと思いませんか?声がついて縦横無尽に動いているキャラクターを見ていたら、「スケベすぎる」以外の感想がなにも出てこなかった。スケベすぎて直視がためらわれる。
スケベ!!スケベと言えばシャリア・ブル。
前半パートから、明らかに一人だけ竹先生デザインのニュアンスをちらつかせるシン・シャリア・ブルが現れて、ブラウ・ブロに乗っててもなんかかっこついてるし。これ絶対本編でもシャリア・ブル大活躍じゃんね、と思っていたら巨大感情とスケベヒゲを蓄えたセックスシンボルみたいなおじさんが現れてもう腰が抜けちゃったわな。後半は年齢制限を付けるべき。
シャリア・ブルがシャア以外の誰にも感情を持っていないのはほぼ自明なので、これから先、シャアしか見えていないシャリア・ブルが周りの人間をどんどん狂わせるのが楽しみすぎる。シャリア・ブルだけで米櫃が空になる。
↓期待している展開
マチュみたいな天然ニュータイプにお株を奪われて闇堕ちするエグザべ・オリベくんに追い打ちをかけるシャリア・ブル(エグザべくんは死ぬ)
シャリア・ブルに上官としての尊敬の念は持っていたが、エグザべくんのことが好きなので、ぼろ布にされてしまったエグザべくんを見て発狂しかけるコモリ・ハーコートさん(最終的に死ぬ)
シャリア・ブルがシャアへのデカ感情を爆発させジオン転覆に動き、なんか死ぬキシリアとマ・クベ(ガルマはグラナダの爆発に巻き込まれて死ぬ)
やばい、普段の倍くらい書いてしまった、こんなはずじゃなかったのに。こうならないために複数テーマをこまごま書く月記という体裁をとったのに。シャリア・ブル、全員狂わせてくれーーーーー!!!!!