鶏粥とポタージュ

夢前綺譚
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公開:2026/2/12

今週も鶏粥とポタージュを作った。どちらも入れ歯無しでも食べられる優れもの。

後期高齢者の栄養摂取。難しい。肉を避けろ、脂質は摂るな、カロリーを控えろ、と言われる中年期から高齢者前期にかけてとは、常識が180度変わる。できるだけ肉を食べろ、カロリー不足に気を付けろ、脂質は良質なカロリー源だ、と言われ始める。高齢者の痩せや、サルコペニア、フレイルを避けるためだ。

高齢者の栄養摂取が難しくなる原因は、たくさんある。星の数ほどある。海の砂の数くらいかもしれない。もしかしたら、人類がこれまでに囁いた愛の言葉くらい、かも。

原因としてよく挙げられるのは嚥下障害だが(父が苦労した)、入れ歯が合わなくなるというのもそうだ。母も総入れ歯になってから苦労した。入れ歯を合わせきることができず、食事のたびに歯茎が傷付く。数年のあいだ、歯科医院に毎週通っては、あっちを削り、こっちを削りと調整をしてもらっていたが、いよいよもう削るところがなくなってしまった。「義歯が細くなりすぎ、これ以上削ると折れます……」と。認知症の進行により、歯茎の痛いところを上手に避けて食べるということも難しくなった。

だから今は週に2回、デイサービスのお昼だけ、入れ歯を入れて食べてもらっている(デイサービスのお昼ご飯、豪華で美味しそうなんですわ)。

家では入れ歯なし。そうすると柔らかいものしか食べられないので、献立にかなりの工夫が必要になる。

そのままで食べられるもの、食べられないもの。

細かく刻めば食べられるもの。

潰したり、ミキサーで粉砕したりすれば食べられるもの。

長時間煮込むなど加熱すれば食べられるもの。

加熱しても難しいもの。

ただ食べられるだけではだめで、栄養のことも考えなければならない。栄養成分表とも睨めっこし、料理の帳面にレシピを書き溜める日々である。

そんな中、行きつけのカフェのオーナーさんから教えてもらった野菜のポタージュと、翻訳家のお友達に教えてもらった鶏粥は、本当に有り難い。

どちらも入れ歯無しで食べられるのはもちろんのこと、ポタージュなら食物繊維を含め野菜の栄養素を(加熱などで失われる分を除けば)丸々摂れる。牛乳を入れるからたんぱく質も多少は摂れる。

鶏粥も、鶏肉をじっくり煮込んで細かく刻むので、入れ歯無しで肉を食べられ、たんぱく質を摂取できる。

そしてどちらも、食事から水分を摂れるというのも大きな利点だ。年寄りは水分摂取も嫌がるから……。

というわけで、毎週末、せっせせっせと魔女のように鍋をかき混ぜている。

*余談だが、UDF(Universal Design Fool)という規格がある。食べ物(主に介護食)の食べやすさを示す指標であり、「容易にかめる」、「歯ぐきでつぶせる」、「舌でつぶせる」、「かまなくてよい」の4区分がある。ドラッグストアなどでよく見かけるキューピーの「やさしい献立」シリーズや、アサヒの介護食シリーズなどにもこのUDFの区分が書いてある。

*鶏粥のレシピはこちら。

鶏とショウガの中華粥

https://www.kurashijouzu.jp/2014/01/recipe-142/