どうでもいい話

tomoi_ka7
·

夜ごはんで訪れた近所の焼肉屋でのことだった。突然に夫が「短調と長調の違いとは」の答えを執拗に迫ってくる。こちらも元吹奏楽部のプライドがあったのでわかる限りで答えたけれど、どうも腑に落ちないらしい。というより、わたしもそんなに詳しくないからうまく説明できない。

家に帰ってきても夫はもやもやが続いていたらしく、しばらくして突然に自分の姉の旦那さん、つまり義兄に電話をしてその質問を投げかけようとしていた。音楽の専門学校に行っていたらしい。幼なじみのような間柄なのだと知っていながらもわたしは「いや、突然そんなこと聞かれても困るからやめときなよ」と言ったのだけど酔っ払いに聞く耳はない。気づいたときには電話に出た義兄に「突然だけど、短調と長調の違いって何?」と聞いていた。

結局「なんだよ突然」なんて笑われながらしっかり説明をしてもらって、なんとなく理解はしたらしい。満足気な顔をした夫はそのまま寝てしまった。

その様子を一通り思い出しながら、わたしは自分には、言ってしまえばそんなどうでもいいことを聞ける相手がいないなあと少しの絶望を感じている。音楽に詳しく友人がいるかどうかは置いておいても、そんなふうにどうでもいい話を聞いてくれる人が思いつかない。

ましてや自分の親戚の連絡先なんて知らないしラフに話ができる人なんていないので「育ってきた環境が違いすぎる……」と人生詰んだ気持ちだ。

仕事にしても友達にしても極力に変な空気にしないように前提の条件をあらかじめたくさん提示する癖が発動してしまう。昔はそうでもなかったはずなんだけど、それでたくさんの人を傷つけてきた自覚もあるから、あまり人と関わらないようにしているし、だから人とのちょうどいい距離みたいなのが掴めないし、なんか前よりコミュ障になっているなあ〜〜〜

なんて落ち込んでいる日曜の夜である。そんな話を投げかけられるのがインターネットしかないのは、昔と変わっていないんだけれどね。

それにしても、年齢を重ねるたびに怖いものが増えていくなあ。

@tomoi_ka7
主に書いています。旧 Twitter:@tomoi_ka7