3年くらい前にパン教室に通い始めたのだけど、今ではすっかりやめてしまった。
通い始めた理由は手に職をつけたかったからで、たまたま見たテレビでパン教室を開く主婦の人のようすを見て「パン教室なら引っ越しても続けられるだろうから、仕事にできたらいいな」というなんとも浅はかな気持ちが起点になっていた。
それから通い始めたパン教室の先生が10代からずっと小麦粉と向き合ってきた人で、50代になった当時でもその熱量が続いているのを間近で見たので「いやあ、わたしにはその熱い思いないわ」と早々に諦めてしまった。何より小麦粉を食べすぎると体調やメンタルの調子が悪くなってしまう。だからといって米粉に強い思いもない。それなら素直にパンは控えてお米を炊きたいと思ってしまうんだから、きっとパン教室を開くのは向いていないんだろう。
好きには勝てないというのはこういうことなんだろうなあ、と実感したできごとだった。わたしにはそこまで思い入れのあることがないのだと改めて悩み始めるきっかけにもなった。
今もわたしは好きなことを見つけられていないけれど、人よりこだわりがあることや関心がある分野を小さくだけれど見つけてどうにか仕事をしている。
人よりできないというコンプレックスは抱えているけれど、嫌いじゃないことができているんだから幸せなのかもしれないなあ。
なんてことをパン屋を巡りながら考えていた。量が食べられなくて作ることへの情熱がないだけで、パンは普通に好きです。