言葉は尽きることがない。次から次へと出てくる。家族と友人と同僚と。誰かと共にする時間の中で、家々の片隅で、苛烈に白熱した議論の中で、恋人との口喧嘩の中で、安らぎの中で、眠る前の一時で。いくら話しても話しきれないほどに、終わることなど、ないように。
言葉は尽きることを知らない。いくらでも出てくる。語らずとも、頭の中では思考する言葉がざわめいている。いついかなる時も、言葉は私とともにあり、また私から離れることはない。
溢れ出るその言葉を遮って、しばしの沈黙を受け入れる。ただひたすらに受け入れる。静かに、しかし力強く。ざわめく思考を落ち着かせ、溢れる出る言葉をねじ伏せる。
やがて言葉は力尽き、静寂が訪れる。
その時はじめて、沈黙する心が語り始めるだろう。