「生きるとは何か」そんなことを考えながら、我々は生きているわけではない。常日頃、人生から最も遠い存在が「死」であるように、「生」もまた、遠く意識の外にある。
「死」は「生」を呼び起こす。我々は死を感じた瞬間にこそ、生きていることを思い出す。まるで、それまでの人生を生きてこなかったように、活き活きと生き始める。
しかし、人として生きることは、孤独からの離脱でもある。人は孤独に生きることはできず、孤独の中にいてもなお、人の中に生きている。
孤独とは、絶望である。人恋しさで、死にたくなる。人に寄り添い、人に頼り、人と人との間柄を痛烈に切望する。こんなにも、人の中で生きていると言うのに。
生きることは死ぬことである。死ぬことは生きることである。そして、生きている限り、孤独ではない。孤独に死んでいくことはない。
ならば、孤独に生きろ、孤独に死ね。そうすれば、人生は輝き出すだろう。