東京に憧れて出て来て、そのままその土地のひとと結婚したことで、自分が育った環境とはだいぶ違ったシチュエーションで子育てをしている。自分が選んだことだし別に後悔も何もないのだけど、最近思うことがある。わたしが小さな頃にしてもらったことと同じことを、わたしはむすめに教えてあげられないなあと。
上の歯が抜けたら屋根に向かってなげること、下の歯が抜けたら縁の下になげること
父の仕事のトラックの座席の高さに胸躍ること
ちょうど今ぐらいの時期の夕方、畑を駆け抜ける時の草いきれの名残のこと
そんなちいさな事ばかりだけれどすこしひっかかる。でも、きっとわたしが教えてもらわなかったすてきなことを、新しくむすめにしてあげられているかもしれないと、気持ちを切り替えてこれから先も進んでいくしかないのです。