今日が最終日だったので、中之島美術館の長沢芦雪展に行ってきました。かわいい子犬たんの絵と円山応挙の弟子程度の知識しかないのですが。
初めて行った中之島美術館は大きな吹き抜けに長い直線のエスカレーターが二機、導線は悪くない感じ。
思ってた通り芦雪は動物が上手く、目当ての子犬たんや兎や雀、四十雀などが描かれた花鳥画の掛け軸や屏風が可愛らしく、昔っから日本人はファンシーなものに弱かったんじゃないかなぁとおもったりしました。二曲一双の屏風で、イタチか何か、細長い肉食獣が雀を狙っていて、そのイタチに罵声を浴びせているらしき雀がいるのには笑ってしまった。(スズメは相手の大きさに構わずめちゃくちゃ罵倒してくることがある)個人蔵とあり、こんなの家にあったら毎日ニヤニヤしてしまうなあと思いながら、歩を進めていたら一枚の掛け軸の前で足が止まってしまいました「酔李白」。酔い潰れたオッサンを子供が呆れ顔で介抱しています。
李白は酒好きでそれをモチーフにした絵画結構あるんですけど、これ、どこに需要があってどんな席に飾るんでしょう?酒の席でこれ飾られてたら、私だったら遠慮して酒飲めなくなります。何せ潰れてるおっさんです。っていうか美人画でもなく「酔い潰れたオッサン」を鑑賞して楽しむってとこが意味わからない。需要がなければそもそも描かないので、こういうの飾っとくとなんかいいことあったんだろうか。それこそ酒の席に飾っといて飲みすぎずさっさと帰れという京都らしいメッセージだったのか。そしてもしかして芦雪、あんた酒飲みだろう。
疑念を抱きつつ次の章に進むと、応挙の名代として寺の障壁画を描くために和歌山県に行った時代の作品が並んでおりました。応挙の名代務めるくらいなので、実力もさることながら素行もそんなに悪くなかったのかもしれない。酒クズ疑惑が少し薄れます。
龍が描かれたものって大概全身ではなく雲に隠れているのですが、ババーン!って感じで全身を描かれたものがあり、後ろから「ドラゴンボール…」という私の心の声と同じものが聞こえ、みんな考えることは一緒だよな…って思いました。
のびのび描かれた龍、ちょっと流し目のかっこいい龍、かわいい虎(円山応挙の虎もめちゃくちゃかわいくて多分ちょっとデブな猫をモデルにしてんじゃないかって思ってる)。この時代水を得た魚のようにのびのびと描き始めたよう。
次の章でとうとう、芦雪酒飲みの証拠を発見できました。「酔っ払って描きましたぁん!」ってヨレヨレの字で書いてある、中国の伝説の酒飲みの絵です。酒飲んだ状態で指で描いたらしい。やっぱりそうか、酒が好きなんだな。宴会の席で酒飲みながら絵を描くとこが脳裏に浮かびます(あとで恥ずかしくならんかったんだろうか)。李白は自分に重なるとこもあったんだろうか。
お客様に頼まれたはずの端午の節句の幟、金太郎と熊なんだけど、何故か熊が金太郎を肩車しており思わず「なんでそうなる」って声出してしまいました。そのあともちょいちょい依頼と違うんだろうなって絵があって、なかなかに反骨精神溢れる画家だったのかなという感想でした。何百年後も愛されるにはそれくらいじゃないとダメですね…