思い思いに書き散らすことで何か見えるのではと思ったが特段にそんなことはなかった。秋と冬の間の季節に営業車から見える重い空の苦しさは砂糖の甘さで消えることもない。何かを成している満足感よりも漠然とした帰り道の夕闇の怖さだけが身体を覆うのを耐えきれなくなった。革靴の乾いた足音が妙に鼓動を早まらせる。口に咥えたタバコのフィルターが唇を切り裂く。痛みで少しはぼんやりとした頭を覚醒させてくれと願う。タバコのタールが心に一滴ずつ、溜まっている気分になる。溢れでた時を想像するのが恐ろしい。tonton