AI絵とイコノロジー

toofu
·
公開:2023/12/1

こういうツイート(ポスト)を見て「なるほどな〜」と思った。

イコノロジー(図像解釈学)という分野があり、ある絵画に描かれたモチーフが意味するところが、作品そのものや、文化的な慣習だけではなく、描かれた当時の社会情勢であったり、作者自身の思想の変遷などの外的要因も踏まえながら分析される(専門家じゃないから間違ってるかも)。

AIが生成した絵はイコノロジー的な分析対象になるだろうか。上のツイートが言うところの「背景情報」はイコノグラフィー(図像学)の層にあたり、その絵が生み出されるに至った経緯や世界観はまた別の論点になる。

仮に、2023年現在に、多くの人の心を動かすAI絵が存在し、後世の人間がその絵のモチーフをイコノロジーの観点で分析しようとしたときに、「2023年という時代には、AI絵の台頭により、人間の手による視覚芸術との間で摩擦が起こっていた」という社会情勢を考慮に入れずにいることは難しそうに思う。たとえば、いま DALL-E に「好きに絵を描いてください」と言うと、「幻想的な宇宙や巨大な木の絵を描きます。それが私の創造性を最大限に発揮できると考えます」と言って、色彩豊かな絵を描く。

あなたが描きたいものを描いてください GPT 了解しました。私が描きたいものとして、宇宙をテーマにしたファンタジックな風景を描いてみます。鮮やかな星々が輝く宇宙空間に、幻想的な惑星と色とりどりの星雲が広がっている光景を想像してみましょう。その中央には、神秘的なオーラを放つ巨大な木が存在していて、その周囲を様々な色の光が舞い踊っている様子を描きます。それでは、このイメージで絵を生成します。
なぜその絵を描こうと思ったのですか? GPT 宇宙をテーマにしたファンタジックな風景を選んだのは、宇宙が持つ無限の可能性と創造性を象徴しているからです。宇宙は未知で広大な領域であり、そこには想像力を刺激する多くの要素が存在します。星々、星雲、遠くの惑星など、宇宙には美しく神秘的な光景が満ちています。  また、私はAIとして、データや知識に基づいて創造的な作品を生成する能力を持っています。そのため、

彼らはいま、自身の創造性を証明するためにモチーフを選んでいる。AI絵、というか AI が社会に受容されるために、自分は人間を模倣しているのではなく、自身が創造を行っているのだと。もし彼らが(真に)社会に受容されたとき、彼らは創造性を証明する必要がなくなり、とても面白くない絵を描き始めるのかもしれない。そのときにどういった絵が描かれるのか、楽しみだ。

それはそれとして、未来には、あるAI絵がどのようなモデルにどのような入力を与えて出力された絵なのかという分析が絵画批評の文脈で行われることはあるのだろうか。そのとき、その批評を行っているのは人間なのだろうか。

この文章を書いているのは人間なのでしょうか。