『カラオケ行こ!』に感謝を伝えたい

たちかわ
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2023年は落ち込み気味で過ごしていた。

5月にコロナに罹り、それから仕事が忙しくなって、大慌てで原稿を書いて同人イベントに参加した。そこから燃え尽きてしまったのだ。きっと。原稿をしているときに感受性の前借をして、ツケを払いきるまで地面を見て過ごすほかなかった。

そんな年末のことだ。なんとか仕事を納め、家でだらだらXを眺めていると【漫画が読めるハッシュタグ】で『ファミレス行こ。』の0話が流れてきた。カラオケ行こ!は読んだことなかったが、なんとなく続きなのだと分かった。今度仕事の帰りに買いに行こう。そしてわたしはまたぼんやりと年を越した。

年明けの仕事の帰り道、本屋に寄って『カラオケ行こ!』だけを買った。最初のやつ読んでなくて合わないと嫌だと思った。なのに読むのが億劫で次の休みまで詰むことにした。その次の休みは季節外れのクリスマス会の準備をするため街へ出た。そこで読んでもいないのに『ファミレス行こ。(上)』を買ってきた。数日前まではあんなことを思っていたくせに。

カラオケ行こ!のあらすじは割愛するが、物語の最後でとんでもない衝撃を受けた。雷に打たれたようなというのはこういうことを言うのだろう。えっ、いいの?と正直に思った。しかも初出がコミティアだと知ってまた驚いた。それから二度カラオケを読んでからファミレスに取りかかったがもうだめだ。何も負けることはないが完敗という気持ちだった。

それから『映画 カラオケ行こ!』を三度見て、わたしは活力を取り戻した。あんなに読むことができなかった積読を切り崩し、ウォッチリストに溜まっていた映画も見始めた。Thee Michell Gun Elephantを聞いて涙し、Syrup16gの奏でるメロディの美しさと悲しさに感動している。世の中の人がどれだけ積読してるか知らないし、音楽に救いを求めているかもわからないけれど、わたしはこれだけのことがまたできるようになってきて嬉しい。憂鬱なことや嫌になることばかりだが楽しい毎日だ。

【漫画が読めるハッシュタグ】で風向き変わったな。すごい。しばらくは狂児と聡実に感謝し、思いを馳せながら暮らすこととする。