「あなたの言っていることはよく分からない!!!」
喧嘩の最中にこんな言葉を言ったり、言われたことはあるだろうか。おそらく、多くの人が人生のどこかで経験したことがあると思う。
でも、それ本当に「I don't understand what you mean at all.」なの?
本当になにも通じていないことなんておそらくない。たいていの場合は、「わかる部分もあるが、分からない部分もある」か「あなたの意見はわかるけれども、私は受け入れられない」だと感じる。そこには、Understand と Agree に二つの異なるフェーズが存在する。
Understand とは、他者の意見を理解するフェーズである。ここでは、自分の意見は意味を持たず、ただ他者の主張を合理的に理解できるかがすべてである。
Agree とは、自分がその意見に同意をする・受け入れるフェーズである。ここでは、自分の意見・価値観と比較をして、他者の意見と合致するか、あるいは相手の意見を許容できるかを判断する。
この二つのフェーズを認識し、自分の現状を相手に伝えることは、相手の取るべき行動を明確にする。I don't understand it であれば、自分には「理解しようとする姿勢」と「分からない部分を明確にしようとする義務」が発生する。一方で、相手には説明責任が生じる。
I understand, but disagree with it であれば、互いの意見を理解した上で、着地点を見つける議論ができる。この状態の共有をせず、「あなたの言っていることはよく分からない!!!」という言葉を鵜吞みにして、論理的な説明を繰り返すことほど滑稽で無駄なことはない。
また、着地点とは常に互いの中間にあるとは限らない。互いに許容しあえないという結論も一つの着地点である。それでも、「相手を理解した」「相手に理解された」状態での議論は健全なものであり、建設的である。