ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」を観た感想

toratsugumi
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※ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド(4/13 夜の部、配信で視聴)を観た感想です。観た人向けの感想なのであらすじは各自脳内で思い出してください。書き散らしなので読みにくければごめん。

⭐︎前半⭐︎

・語り手・スピードワゴンのラップずっと面白い

・原作だと2コマくらいの当時の時代背景を歌と踊りで表現してくれるのアツい 尺足りますか?

・ディオ......!死んだ後も父親の記憶に苦しめられ母親を愛しているディオ......!?!?(混乱)

→このあとのシーンでも、なんなら吸血鬼になった後もダリオが出てくるので「何も持たざるものとして生まれ育ち、父親に虐げられ、全てを奪いたいと思うようになった」という方向性でディオを掘り下げているのすごいいいなと思った

・覚醒前のジョナサンが原作の倍ぐらいアホで可愛い

・馬車からシュタッってディオが降り立つシーン完全再現してくれてありがとう......感謝申し上げます......(?)

・エリナめちゃくちゃ可愛いし強い女で好きになっちゃいそう あと歌がめちゃくちゃ上手い

・最初ちょっと笑っちゃったけどダニーがちゃんと犬の動きしててよかった 操演の人すごすぎ あとダニーにブドウあげるくだりリンゴに変わってて安心した(ブドウは犬には毒)

→演出家に犬好きいるんかなって書こうとしたけどこのあとダニーが爆発炎上したんだよなあ......

・ジョースター卿による紳士になるための修行パート、歌と回転する舞台装置で表現するのめちゃよかった 他のシーンでもずっと思ってるけど舞台の演出ってすごい(語彙力)

→ここでディオがめちゃくちゃ腹立つ顔してるのとジョナサンがちょっとディオの仕草真似してるの良すぎた

・「牢に入れられ絶望した囚人が2人、1人は泥を見た、1人は星を見た」のくだりを中心におく脚本、すごすぎ ジョースター卿に「囚人は星と泥のどっち見たと思う?」と聞かれてディオは泥を見た、ジョナサンは星を見た、と答えるの、原作にはないの信じられんな

→後の警部の回想シーンで、ディオの父も「星なんか見えねえよ」って言っててそれが「こうはなりたくないと思っている父親と同じ行動や言動をしてしまう(酒!飲まずにはいられない!とか)」のリフレインになってるの凄まじい

・君が泣くまで殴るのをやめないの歌、ディオに友情を感じないの歌、僕の青春はディオとの青春の歌、オタクの「ジョジョがミュージカルになったら聞きたい曲リスト」を全部網羅しようとしている???

♫唐突な歌の感想:僕の青春はディオとの青春の歌

♪僕の先にはいつも君がいた、俺の背中にはいつもお前がいた、僕(俺)の青春は君(お前)との青春、この時代に決着を

→このシーン、原作の「僕の青春はディオとの青春!」が元なんだろうけど「ディオも同じことを思っていた」という解釈と、それを二人の歌の掛け合いで表現するの10000000点満点すぎる......

そしてこの歌と同じメロディの歌がラストの船が沈むシーンで出てくるところも含めて最高(最後のシーンの歌唱でディオはずっと「最後に勝つのはこのディオだ!」と言っているのにジョナサンはエリナに語りかけるだけで歌では答えていないのも含めて、良い)

★後半★

・前半のディオが吸血鬼になったシーンから思ってたけど、人間やめる前と後で演技をガラッと変えてる宮野真守が圧巻だった。

一つ一つの動作とか表情が「野心のためにのしあがろうとする青年の腹立つ顔」から「人間をやめた吸血鬼」に変わって、魔性の美というかそういう雰囲気も出ていた。原作とのビジュアルの差(荒木先生の漫画を実写で完全再現は無理だと思うが)を演技の説得力でねじ伏せていたのはどう考えてもすごい。

あと「WRYY」「貧弱貧弱ゥ」の声目を瞑って聞いたらアニメJOJOの子安さんの声なんじゃないかというくらい似ててすごい 声優さんってすごいんだなあ(今更)

・後半はツェペリ男爵と「波紋」の概念が出てきてタルカス・ブラフォードと戦ってツェペリのおっさんが死んでディオとの最終決戦に臨んだ後新婚旅行に行って船が沈む、というめちゃくちゃ盛りだくさんな内容だった。よく時間内にまとめたな(しかも原作の名台詞全部言った)の気持ちと「あと3時間くらい使ってもっとゆっくりやっていいよ」の気持ちが同居してた(それはそれで観る方がしんどい)

・ツェペリ男爵が好きなのでビジュアルも最高だし最初に出てきた時の「なんやこいつ」感が表現されていたのすごかったし、波紋の表現として「渦巻き柄の人間をたくさん配置する」なの面白かったしカエルの「メメタア」までやってくれて笑った

・「明日って今さ!」、原作ではポコがいう台詞なんだけどポコを出さなかったのでスピードワゴンが言ってて、原作改変〜!ってなりそうなところを、「石仮面のせいで父を失った過去に囚われていたツェペリと無力な自分が悔しいスピードワゴンが一歩踏み出す」というシーンになっていて感動した。

→でもだからこそその直後にツェペリのおっさんをあっさり死なせるという人の心がない話になってたけど......

・ジョナサンとディオの最後の戦いで、ジョナサンが冷静に「君は人間が怖いんだ、だから人間をやめた」「君は逃げたんだ」と言い放つシーンがめちゃくちゃ良い。

あの台詞は「人間には限界がある」「だから俺は人間をやめる」へのジョナサンの「答え」でもあるし、「僕は人間であることから逃げなかったぞ、人間のままでお前を倒す」という最高の煽りでもある。

そして「人間讃歌」を教えてくれたのはジョースター卿だとかツェペリ男爵だとか彼がディオのために失った人たちで、「人間は死ぬけれど意思を残すことはできる、それを受け継いでいく」という宣言でもあるわけで......ずっと脚本の人の解釈がすごすぎる

♫またまた唐突な歌の感想:炎と氷の歌

♪炎と氷のよう 身を焦がし(削り)証を立てよう

炎と氷のよう 父さんから受け継いだ心(人間さえ捨ててきた)

→炎と氷っていうフレーズ、原作の話タイトルに出てくるけど炎=ジョナサンと氷=ディオのパートをそれぞれ二人に歌わせるの思いついた人誰ですか?天才

そして炎と氷という正反対で相容れないものなのに「身を削って何かを成す」という点で共通点がある(根っこが同じ)というのが、ほんとに二人で一人、表と裏なんだよな......と思った

・ジョナサンが死んでディオと共に海の底に沈む最後の場面からエンディングまでも圧巻だった。

勝利を誇りながらもジョナサンをなぶり殺そうと言うワンチェンを制する威厳に溢れたディオ、(原作は身体を乗っ取ろうと触手を伸ばしたディオを刺すジョナサンなのを)ディオを自ら刺しに行き(!)「君のことだから......僕の意識がなくなるまで......」と言い残し絶命する(原作よりも殺意が高い)ジョナサン。

そしてエンディング、「ジョナサンの肉体を手に入れて生きてやる」というディオの手を掴み、「消えよう」と言って暗い舞台の奥に消えていくジョナサン......

原作の船が沈むシーンも読者を完全に置いてけぼりにしている感があったが、それがさらに強く感じられた。ほんとに何????

<まとめ>

ジョジョミュを観終わって、原作の有名な台詞やエピソードは全て拾い、その上で「星を見る囚人と泥を見る囚人」「二人で一人、表と裏、相容れないけど根底は同じ二人」「受け継がれる黄金の精神」という解釈で観客を殴り、観るものを置き去りにしていくすごい舞台を観たな......としばらく呆然としていた。

最後にスピードワゴンが「この世界が一巡するまで語り続ける」って言ってたので6部まで全部舞台化する気でいるんですか???? 意欲が高すぎて怖い。ぜひやってほしい。

@toratsugumi
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